11月16日、乳がんの再発原因となるがん細胞を金沢大学などの共同研究グループが世界で初めて解明したと発表し、大きな話題となりました。乳がんの患者はどう受け止めているのか、またがんと闘う患者の支えとして今注目されている医療アートメイクとは。

2年前、石川県野々市市に開業したスナック花恋。
「だいたい午後8時半くらいに私いて、オープンは9時から。閑散としたこの通りに店があるんですよ」
準備を進めていたのは、オーナーの中村花恋さん(35)です。去年6月、乳がんと診断されました。

中村花恋さん
「親とお姉ちゃんも乳がんで…診察受けた時に宣告されて“あっそうか、やっぱりか”みたいな。でもすごくショックでした」

撮影 中村花恋さん

診断の翌月に手術を受け右胸を全て切除する全適、そのまま乳房の再建手術も受けます。術後は抗がん剤治療を続け、さまざまな副作用に悩まされました。
「すごく落ち込みました。味覚障害とか倦怠感、脱毛、手足のしびれ、むくみ…数えきれないほどあります」

乳がん患者が不安に思うのは再発のリスク。多くの患者の中でも、中村さんにとっては特に重要な問題です。

中村花恋さん
「乳がんは4つタイプがあって、私のタイプはトリプルネガティブ。抗がん剤と摘出しかもう方法がない」

分子標的治療が難しいトリプルネガティブ



トリプルネガティブ
=ホルモン・情報伝達物質などを選択して受け取る役割をもつ受容体は3種類ありますが、がん細胞にそのいずれも「存在しない」=陰性となる乳がんです。このタイプの患者は薬に耐性のあるがん細胞が全身に残りやすく、ほかの乳がんより再発・転移が起きやすいとされています。乳がん患者の5人に1人が、このトリプルネガティブだと言われています。