“巨大な受験産業”が背景か 破産する親、年収11億円以上の塾講師も

熊崎キャスター:
“キラー問題”を排除した背景には、韓国の“巨大な受験産業”があると言われています。ソウル・江南(カンナム)には学習塾が密集していて、その中でも「大峙洞(テチドン)」エリアは“受験の聖地”と言われています。
現地メディアによりますと、そこでは出題されそうな“キラー問題”を予想する「イルタ」と呼ばれる塾講師がいると言います。「イルタ」の個人レッスンは1回10万円するところもあり、トップクラスの「イルタ」の年収は11億円以上もするそうです。

韓国の受験事情に詳しいニッセイ基礎研究所 上席研究員 亜細亜大学 特任准教授の金 明中さんによりますと「子供を一流大学に入れるため、親は命をかけて幼少期から学習させている。高校生の場合、学習塾の費用に月20~40万円かけることもある」と言います。
この費用が支払えないために、他の学生との間に差が生じてしまったり、破産や老後の資金が全くなくなるなどの社会問題が起きていたのです。

しかし、“キラー問題”排除で新たな課題が生じています。それは第1志望の大学に受かることができずに他の大学に通っている“仮面浪人”が殺到したことです。今回の大学入試 統一試験の受験者の内訳で浪人生などの割合は35.3%でした。これは1996年度以降、最も高い水準ということです。“キラー問題”がなくなった。よしいけるぞ!という人たちが殺到したわけです。
ホランキャスター:
もう1回受けなおして、良い大学を出た方が、良い企業に就職できるのではないかということですね。
熊崎キャスター:
そうなると、現役高校生たちにとっては、過酷な狭き門になります。SNSでは「浪人生が増えるせいで、私が浪人しちゃう・・・」「キラー問題のために勉強してきたのに、おかしくなりそう」という、何年も前から“キラー問題”を解くために頑張ってきたのに、6月に“キラー問題”排除が決まり、「そうれはどうなの・・・」という声もあったそうです。
井上キャスター:
ここ数年間、勉強を頑張ってきた人たちは、割を食ってしまいますが、学校教育で習っていない問題を、お金を出して勉強をしなければならない状況は、どこかで是正しなければいけなかったのですね。