共和党の“期待の新星”に直撃取材
そんな中、アメリカではある人物の動向が注目されていた。ワシントンDCの隣、バージニア州のヤンキン知事だ。
投資ファンドのCEOから政界に転身し、2021年の知事選で民主党の重鎮候補に勝利した56歳。
保守的な政策を打ち出しながらも、トランプ氏とは一定の距離を置き、知事としての支持率は55~60%と比較的高い評価を得ている。
共和党に新しく登場した期待の星として、大統領候補としても有力視され、水面下で大統領選出馬への働きかけが行われていると報じられてきた。
そのヤンキン知事は今年4月には台湾や日本を訪問。大統領選を見据えて外交の経験値を高める狙いだともささやかれていた。

ヤンキン知事は大統領選に出る気はあるのか。10月下旬、バージニア州の州議会選挙の、共和党候補者の応援に飛び回るヤンキン氏を取材した。
選挙集会の会場に着くと、まず目に飛び込んできたのが「ヤンキン」と大きく書かれた大型のバス。
まるで大統領選挙のキャンペーンがもう始まっているかのようで、車体には来年の大統領選挙への出馬を期待する「ヤンキン2024」という支持者のメッセージが、あちこちにペンで書きこまれていた。
ヤンキン氏の演説が始まると会場は熱気に包まれ、80歳のバイデン大統領の演説と比べると桁違いのエネルギーを感じた。ヤンキン氏が知事就任後に州内の雇用の伸び率が大きく改善し、全米で3位の伸び率になったことを強調すると、大きな歓声があがった。

支持者への応援演説が終わり、ヤンキン知事に直接話を聞くことができた。
「日本のメディア」だと伝えると、「日本には今年行きましたよ。総理大臣とお会いし、重要産業におけるサプライチェーンについて話をしました。日本とバージニア、日本とアメリカの間でできることはまだまだたくさんあると思います」と笑顔を見せた。
続けて「多くの人が大統領選に出馬するのかを気にしているが、今どういう考えか?」と聞くと、このような返答が返ってきた。
ヤンキン知事
「ご覧の通り、今私は州議会選挙のためにバージニア州を飛び回っています。(大統領選挙に)私の名前が挙がることはとても光栄なことですし、人々がバージニア州で起きている成果に注目していることは、とてもエキサイティングでもあります。でも、私はバージニア州に集中しています。州議会選挙で共和党は下院で多数派を維持し、上院を奪還する。そして約束した公約を全て実現しますよ」

これまでのアメリカメディアの直撃取材と同様、あくまでも「バージニア州に集中する」という答えではあったが、同時に大統領選挙出馬を否定するものでもなかった。
この取材の3日後には、アメリカメディアが「ヤンキン知事が来週にも大統領選への出馬表明か」と報道。
11月7日のバージニア州議会選挙で共和党が躍進すれば、ヤンキン知事が勢いにのって大統領選挙への出馬を表明する可能性があるとみられていた。