“駅伝の塩尻”への期待
今季の塩尻は6月の日本選手権まで、日本選手間で無敗に近い快進撃を見せた。7月のアジア選手権、8月の世界陸上ブダペスト、9月のアジア大会と国際大会を3カ月続けて走った。その疲れも考慮して東日本実業団駅伝は距離の短い4区に回ったが、“駅伝日本一決定戦”のニューイヤー駅伝では、横手や鈴木健吾(28。マラソン日本記録保持者)とともに最長区間候補だという。
ニューイヤー駅伝は7区間100kmのコースはそのままだが、前回までと区間の距離が以下のように変更になる。
1区(12.3km)変更なし
2区(8.3km) →21.9km
3区(13.6km)→15.4km
4区(22.4km)→7.8km ※インターナショナル区間
5区(15.8km)変更なし
6区(12.1km)→11.2km
7区(15.5km)→15.6km
最長区間は4区から2区へ。距離は大きく変わらないが、従来は高林交差点を左折後の3kmが強い向かい風となることが多かったが、今回からは2区全部が追い風となる可能性が高い。
東日本実業団駅伝の優勝チーム会見では、他の選手の前ということもあってか、塩尻は「3区の距離の方が自信を持って走れる」と話した。だが2区を塩尻が走る可能性は高い。順大4年時に箱根駅伝エース区間の2区を、区間日本人最高記録で走った実績もある。
マラソン日本記録保持者の鈴木や、東京五輪代表だった中村匠吾(31)の復活も期待できる。横手や、マラソンで2時間7分台を持つ浦野雄平(26)も候補だという。
しかしトラックのスピードと駅伝の実績では、塩尻が一番期待できる。仮に2区を他の選手に任せたとしても、本人が希望する3区で驚異的なスピードを見せるだろう。塩尻の爆発的な走りがあれば、富士通が2区か3区でリードを奪う展開になる可能性が高い。塩尻が富士通の3年ぶりのV奪回のカギを握る。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
※写真は塩尻選手














