巨大湖から見つかった人類の祖先

同じくベスト8入りしたのが、ケニアの「トゥルカナ湖」。ここに撮影に行くためには、首都ナイロビから悪路600キロを自動車で2日走らなければなりませんでした。取材車はぬかるみにはまり、その度に、スタッフ総出で車を押して脱出する・・・「到達までの困難度」が満点の5点、「到達までの時間」が4点という得点になりました。

トゥルカナ湖はケニア北部にあり、南北260キロもある大きな湖です。アフリカ大地溝帯という巨大な大地の割れ目にあるため火山活動も活発で、湖には噴火で生まれた島がいくつも浮かんでいます。番組の撮影隊も上陸したのですが、ガスが吹き出る無人の島は、まさに人跡未踏の感がありました。

世界遺産になった理由のひとつがこうした火山活動が生んだ湖の環境と生態系で、もうひとつが貴重な人類の祖先の化石が見つかったことです。1984年、トゥルカナ湖畔で、約160万年前の原人の全身骨格の化石が発見されました。それは9歳の男の子のもので、「トゥルカナ・ボーイ」と名付けられました。脳の大きさは現代人の3分の2ほどですが、身体の作りはほぼ同じで、直立歩行することが出来た現代のヒトにつながる祖先。人類はアフリカで生まれ、世界に広がっていった・・・というのは今では定説ですが、それを裏付ける大発見だったのです。