「大学受験がすべてじゃない」同級生の言葉に涙
背中を刺された受験生2人は、その年の受験を諦めざるを得なかった。70代の男性は、被害にあうまで健康で仕事もしていたが、長期間の入院を強いられた。被告は、涙を流しながら謝罪の言葉を口にした。

逮捕後も1年以上、拘置所で受験勉強を続けた。「現実逃避のため」だったが、裁判を前に勉強道具を手放した。検察側が懲役7年以上12年以下の不定期刑を求刑する一方、弁護側は「少年院で矯正教育を受けるべきだ」と保護処分を求めている。
母親:友達、趣味、恋愛とかを削ぎ落してまで勉強に注ぎ込んでいたのに、成績が伸びず、人生を悲観してしまった。息子の悩みにもっと気づいてあげていればと思う
両親は「次男の受験や末っ子の世話に目がいっていた」と悔やんだ。また、高校で同じクラスだった元同級生も、こう述べた。
元同級生:事件前、明らかに様子がおかしくて危険なのは目に見えていた
ひげを剃っていない。コーヒーや栄養ドリンクを大量に飲む。授業中に寝ている。話しかけても拒否される。いくつもの“異変”に気付いていたものの「何もできなかったことを後悔している」という。
元同級生:大学受験がすべてじゃないと気づかせてあげていれば、と思っている。相応の刑罰を受け止めた後は、何もかも諦めるのではなく、高い志をもって更生していってほしい
顔にあどけなさが残る被告は、白いハンカチで何度も涙をぬぐっていた。判決は11月17日に言い渡される。
(TBSテレビ社会部 司法記者クラブ 高橋史子)
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高橋史子
TBSテレビ 報道局社会部
2009年入社。社会部に配属され司法クラブ(検察・国税担当)、警視庁クラブ(生安部・交通部・組対部など担当)で取材。その後「報道特集」「NEWS23」の番組ディレクター。2022年7月から2024年3月まで司法クラブで裁判を取材。現在はサブデスク。