歴史に残る大惨事の現場が近くに

黒部峡谷ガイドセンター 高橋誠さん:「昭和に作られたトンネル工事で大きな災難があったところです」

高橋さんが指さす先には、日本最大の急峻な壁を持つ奥鐘山(おくがねやま)がそびえていました。ここで歴史に残る事故が起きたのです。

1938年12月、トンネル工事の作業員の宿舎、志合谷冬営宿舎を泡雪崩(ほうなだれ)が襲ったのです。「泡雪崩」とは雪庇などの雪が急傾斜を落ちて、雪が凝縮された瞬間、爆発的な風が吹く雪崩です。海外では秒速1000メートルの爆風が起きたという記録もあるといいます。この泡雪崩で4階建ての宿舎は1階を残し、2階から4階までが吹き飛ばされました。そしておよそ580メートルも離れた対岸の奥鐘山の西壁に激突し、宿舎にいた84人全員が死亡する大惨事となったのです。

欅平上部駅からは、いわゆる「上部専用鉄道」。竪坑エレベーターで運び上げた蓄電池機関車で6.5キロを走ります。車内はかなり狭いです。

そして、いよいよクライマックスの「高熱隧道(こうねつずいどう)」へ向かいます。

ガイドの高橋さんがかつての掘削工事の困難さを説明しますが、車内はとても大きな音で聞き取るのも大変です。ツアーが実施されたら、車内にモニターを設置する予定もあるそうです。