今後の歌舞伎界の行方は

――今後の歌舞伎界の行方について、演劇評論家の犬丸治さんに話を聞きました。

(犬丸治さん)5月の事件以降ですね、やはり猿之助被告の不在っていうのは非常に大きいものがありまして、やはり彼は、古典もできれば新作もできる、踊りも上手い、脚本も書ける。そして何よりも非常に集客力のある人です。いわば、軍師というか、先の読める人だったんです。彼の中では将来の歌舞伎の未来図ってものがあったわけで、それをする実行する力もあったんですが。

――猿之助被告が不在の中、今後期待される歌舞伎俳優は。

(犬丸治さん)市川團子さんという市川中車さんの息子ですよね。彼は5月の事件の直後に、猿之助被告の代役という形で、ぶっつけ本番に近い形でやりまして、非常に有望な若手だと思いますよ。市川團子が将来、5代目市川猿之助を継ぐという路線は揺るがないと思うんです。必ず團子という名前を継いだ後に猿之助になるという一つの流れがあるわけですよね。

――猿之助被告が今後歌舞伎界に戻ってくる可能性はどう考えてらっしゃいますか。

(犬丸治さん)歌舞伎界の中には猿之助の存在っていう大きさがありますから、根強い復帰論があるわけですけれども、まずは本人の気持ちっていうのを知りたいと思いますね。実刑か執行猶予なのか、まだここでは予断を許しませんけれども、執行猶予だったとしてもその上で彼がどう罪に向き合って、こう進んでいきたいっていうことを言うのか、そしてそれに対して、観客が、贔屓が、許すのか、それが本当に復帰の大前提だと思いますね。

―――南さん、今後の裁判のポイントを教えていただいていいですか。

(南和行さん)11月に判決公判があるということですが、判決の先で、社会がこういったことを起こしてしまった猿之助さんを見守るということも大事です。一方で、発端になったセクハラ・パワハラの問題を不問に付すということも、歌舞伎業界のコンプライアンスの問題からそれはできないと思います。(2023年10月20日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

◎南和行:弁護士 LGBT問題や企業のリスクマネジメントなど一般民事のほか幅広く扱う