10月20日、臨時国会が召集された。内閣支持率が低迷する岸田総理にとって、この臨時国会はまさに正念場となる。
さらに、政権の行方を占うのが10月22日投開票の「衆参補欠選挙」。そして、岸田総理が”税収増の国民への還元”を掲げたことで期待の声が上がる、所得税を含む「減税議論」だ。
臨時国会召集 焦点は旧統一教会問題、経済対策・・・


臨時国会の幕開けは、旧統一教会をめぐる立憲民主党と日本維新の会の法案提出だった。
これは、文部科学省が10月13日、旧統一教会に対する解散命令を東京地裁に請求したことを踏まえた対応だ。
司法判断が確定するまでには年単位の時間がかかる。そして、教団が多額の保有資産を韓国の本部に移した場合、被害者救済に充てるための財産が残らない可能性があると指摘されているからだ。
立憲民主党が提出した特別措置法案は、解散命令請求を受けた宗教法人の財産の保全を可能にするもの。日本維新の会も宗教法人法の改正案を提出した。両党は、それぞれの法案成立に向け、他の与野党に協力を呼びかけている。
こうした野党の対応に反応したのが岸田総理だった。ある自民党幹部は「岸田総理も相当焦っている」と話す。
与党内からは「憲法が保障する財産権を制限するような措置は難しい」「野党の法案は明らかに憲法違反」との声が上がり、法案の提出は見送り、現行法を最大限活用して対応するとの方針が固まりつつあったが、この問題に後ろ向きと見られることへの懸念からか法案提出も視野に対応を検討することとなった。
さらに野党が追及しようとしているのが、岸田政権の経済対策だ。
岸田総理は「30年ぶりの高水準での賃上げが実現した」と経済政策の実績をアピールするが、実質賃金は17か月連続でマイナスとなるなど、賃上げが物価高に追いついていない状況が続いている。
こうした中、政府は物価高などに対応するため、10月末をめどに経済対策を取りまとめる予定だが、野党各党も経済対策をまとめている。立憲民主党の幹部は「岸田政権を徹底追及していく国会にしたい」と臨戦モードだ。
<与野党の主な経済対策>
自民党:賃上げ税制の強化、ガソリンや電気・ガス料金への補助金の継続など
公明党:住民税非課税世帯への給付金、買い物時のポイント還元など
立憲民主党:1世帯3万円の「インフレ手当」、児童手当の拡充など
日本維新の会:社会保険料の減免、消費税減税など
国民民主党:消費税・所得税などを減税、トリガー条項凍結解除など
共産党:消費税率5%への引き下げ、最低賃金の時給1500円への引き上げなど