“微笑みの国”として知られるタイは、中国人に人気の観光地です。ところが、その中国で今「タイは危険な国」という負のイメージが急速に広がり、タイを訪れる観光客が激減しているというのです。一体、何が起きているのでしょうか。
新型コロナの影響で落ち込んだ観光の復活を目指すタイ。鍵を握るのは、感染拡大前には年間1000万人以上と外国人の中で最も多かった中国人観光客です。
ところが、ある異変が。
観光業に携わるタイ人
「(中国人観光客は)かなり減りました。私の収入も大きく減ってしまい、影響は大きいです」
中国の厳しいゼロコロナ政策の終了を機に、タイは中国人観光客を熱烈に歓迎しました。しかし期待に反し、今年1月から8月までに訪れた観光客は、200万人あまりにとどまっています。なぜなのでしょうか。
中国人観光客
「(タイは)安全ではないからです。映画の影響もあります。中国人はとても怖がっています」
きっかけのひとつとされるのが、中国で8月に公開され、大ヒットしている犯罪映画。
騙された中国人が東南アジアに連れて行かれ、現地を拠点とする詐欺グループに加担させられる物語で、タイを強く連想させる描写があることなどから、中国のSNSで「タイは危ない」といった負のイメージが広がっているとみられています。
タイ観光ガイド協会 ワッサポン会長
「タイに関する悪い噂が広がり、タイのイメージが損なわれています。中国人はSNSを見ると真実だと思うのでしょうが、実際はそうではありません」
観光地で働くタイの人からも切実な声が聞かれました。
観光地で働くタイ人
「中国人には考え方を変えてほしい。ぜひ一度(タイに)来てみてほしいです」
予期せぬ状況に危機感を抱くタイ政府は、インバウンド回復を狙って中国人観光客のビザを一時的に免除しました。
しかし、今月3日、首都バンコクの大型商業施設で14歳の少年による銃乱射事件が発生。事件当時、商業施設には多くの中国人観光客も居合わせ、現場の映像は中国のSNSで拡散されました。
2人の犠牲者のうち、1人が観光で訪れていた中国人女性であったこともあり、動揺が広がったのです。
北京市民
「このような事件は避けようがありませんし、確率は中国よりも高いでしょうから(タイに行くかは)影響されます」
「タイはこのような事件が起こる場所という印象で、あまり安全ではないと思っています。できるだけより良い国に旅行したほうがいいと思うよ」
すでにバンコクのホテルでは中国からの団体客が宿泊をキャンセルし、旅行先を変える動きなども出ていて、影響の深刻化が懸念されています。
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