■「想定される緊急使用のため…」アメリカが土地接収を強行したワケ
アメリカの一方的な土地接収の背景には何があったのか。1953年、国家安全保障会議の記録にアイゼンハワー大統領の発言がある。
「想定される緊急使用のため、沖縄での核兵器能力を使用可能にすることを考えている」
この会議で、沖縄に核兵器能力を持つ部隊の配備を決定した。
それが、伊江島に与えていく影響が空軍の記録に残されている。LABSと呼ばれる低高度爆撃の訓練。低い高度で侵入し核の模擬爆弾を投下する演習場の拡張が必要となり、さらなる土地接収を目論んだ。

自らの行為を「invasion =侵略」と記していた。
安里正春さんは、抗議に出向いたときのアメリカ兵の言葉を今も忘れない。

「占領意識があってですね。米軍の兵隊が、あんたがた第3国民でしょう、と言いました。あんたがた戦争に負けたでしょと」
演習は激しさを増していった。阿波根が建てた反戦平和資料館には、演習弾の薬莢や模擬爆弾の残骸がならぶ。これが住民の命を脅かした。

「畑をしていたんですよ。イモを植えてました。パラパラパラと自分たちの上に落ちて来る感じがして。うずくまってたら15メートル先に(爆弾が)落ちました。命拾いした」

安里さん
「ヤギの草刈りのために直撃を受けてもう即死。米軍は何の補償もないです」