「赤ちゃんポストを推奨していくということではない」

久保田 編集長:
みなさん、受け皿が必要だというのは考えますよね。実際、慈恵病院に預けられた子どもは、これまでに170人7割が県外から来ています。しかし受け皿が必要なのに、実は医療機関で唯一でした。なぜ全国に広がらなかったのでしょうか?

ここにきてようやく東京都内にも設置の動きが出てきました。江東区や、墨田区の医療機関が来年度の設置を計画しているということを明らかにしています。

これからやっと広がっていくと思われるかもしれませんが、加藤鮎子 子ども政策担当大臣は赤ちゃんポストについてこのように話しています。

加藤鮎子 子ども政策担当大臣:
「(赤ちゃんポストを)推奨していくということではない。母子の福祉に関して様々な課題がある

課題とは一体どういうことなんでしょうか?そもそもこの「赤ちゃんポスト」がどういう施設なのかもう一度確認しておきます。

これは一時的な、とにかく赤ちゃんを救うためのものです。宮津さんも「最後の砦なんだ」と表現していたんですけども、“最終手段として選ばれるもの”なんですよね。

ただ、赤ちゃんには命が守られた後も人生があります。その後の人生は病院で育つわけにはいきません。どのように安定した成育環境を作っていくのか、児相など行政サービスに委ねられることになります。また成長する過程で自分の生い立ちについて知りたい、と思うのは当然だと思いますが、その情報にアクセスすることも限られる可能性があります。

また、赤ちゃんポストが全国に広がることによって、赤ちゃんポストを前提とした孤立出産を助長しかねないという懸念も出ています。

小川キャスター:
非常に難しい課題ですが、少なくとも産む前、産んだ後、そしてお母さん、お子さんもあらゆる角度からのサポートが足りてないということですよね。

宮田 教授:
“赤ちゃんポスト”という存在だけに焦点を絞ると絶対必要なものですが、「推奨していない」という言葉があるように、赤ちゃんポストだけあると、本当は産んで育てることができる親が赤ちゃんポストを選んでしまう、っていうことですよね。それがいろいろな人の人生を歪めてしまうかもしれない。名前が非常にキャッチーすぎるがゆえにです。

この利用を伸ばせばいい、という話ではないんですよね。子どもの視点から、どういう人生を歩めるのか、ということもあるし、お母さんたちへの産前のサポートだったり、あるいは産後のケア、別れた後、あるいは多様な選択肢があるということも伝えていく。こういったいろいろな環境を整備して、この赤ちゃんポストがようやく活きてくる、ということなのでバランスが非常に重要だと思っています。

小川キャスター:
サポートを必要としている受け皿を必要としている人たちがいる。そうした人たちに手当をどうしたらいいのか、そして長期的に見たときにどういった制度設計が必要なのか。これは両面で考えていく必要がありますよね。