バドミントン日本代表、男子シングルスの新エースと呼ばれる奈良岡功大(22、FWDグループ)。8月の世界選手権では銀メダルを獲得し、現在行われている中国・杭州アジア大会(9月23日~10月8日)でも順調に4強進出を決め、メダルを確定させた。プレースタイルは、どんなに厳しいショットも拾ってつなぐ粘り強い守備が持ち味。ラリーに持ち込むと相手の裏をかく巧みなショットで世界の強豪を惑わせる。そんな奈良岡のルーツは父・浩(ひろし)さんとの絆にあった。

父・浩さんと

2001年、青森県生まれ。5歳の時にラケットを握り始めた奈良岡は、バドミントン経験者の父と一緒に毎日練習を重ねてきた。自宅には今も、小学生の頃に書いた目標シートがある。そこには、全日本で勝つ、全日本優勝、オリンピック優勝、という具体的な夢が年代ごとに並んでいた。当時の奈良岡の言葉を父は今でも覚えている「オリンピックで10回勝つと言ったんで、40年間もやるのかという話をしたら、その時は分かっていなかったんです、オリンピックが4年ごとにある事が」。それほどの目標があるならと、父は目で見て分かる目標シートを提案した。

目標シート

その目標の一つが13歳の時に達成される。2014年の全日本総合選手権。社会人選手を相手に史上最年少での初勝利をあげた。「父のアドバイスを聞きながらやっていました.嬉しかったです」と笑顔で話した奈良岡は、その後も父と二人三脚で突き進む。体育館での練習後も父が補強した自宅の壁に向かいシャトルを打ち続けた。

父とはこんな約束を交わしていた。「オリンピックで金メダルを獲る時のベンチはパパだと言ったんですね、まぁ贅沢な夢ですね」と浩さん。

現在世界ランキング3位の奈良岡は、父の存在について「今も大会について来てくれたり、ベンチに入って応援してくれたり、アドバイスをくれるんですけど、それでうまくいっているので、これからもベンチに入って応援してもらたいなって思っています」

奈良岡選手

来年に迫ったパリ・オリンピックで”贅沢な夢”を叶えるために、まずはアジアの頂点に立つ戦いが続いている。