アジア大会中国 杭州は5日、陸上競技の最終日を迎え、男女のマラソンが行われるる。

【陸上競技7日目(10月5日)決勝種目】
8:00 男子マラソン
8:10 女子マラソン
※日本時間

ラスト勝負の経験豊富な定方

バーレーンからは自己記録2時間06分43秒のS.デチャサ(34)、1人だけの出場になった。中国からは2時間07分30秒の何杰(24)と2時間07分49秒の楊紹輝(31)の2人。そして日本から2時間06分53秒の池田耀平(25、Kao)と2時間07分05秒の定方俊樹(31、三菱重工)と、5人が2時間8分未満の自己記録を持つ。

世界陸上の戦績ではデチャサが15年北京大会5位、昨年のオレゴン大会9位とヒト桁順位で2回走っている。夏場のマラソンでもそれなりに力を発揮できる選手だろう。

中国2選手は今年3月に中国記録をマークしている何が、8月の世界陸上ブダペストでは45位に終わった。代表歴が長い楊も21年東京五輪19位が最高順位で、今年のブダペストは38位だった。

日本の2人は初代表だが、国内の国際レースの実績などから力はある程度予想できる。過去2大会同様バーレーンvs.日本の構図になるのではないか。14年仁川大会はH.マフブーブ(バーレーン)が2時間12分38秒で優勝し、松村康平(三菱重工)が1秒差の2位。18年ジャカルタ大会は井上大仁(三菱重工)が2時間18分22秒で優勝し、E.H.エル・アッバシ(バーレーン)が同タイムで2位。

会社の先輩と後輩が2大会連続でメダルを取っている定方は、以下のようにレースをイメージしている。

「どちらの大会もテレビの生放送を見ていました。すごくゆっくりのペースになったりして、最後の勝負になったことが頭に残っています。でも、今年の世界陸上はバトオチル選手(モンゴル)が飛び出していたので、そういう展開もあるかもしれません。レース展開は本当に読めないので、臨機応変に対応するしかない。よっぽどのスローでない限り、じっくり走って最後の5kmで勝負できるようにしたいですね」

定方は九州実業団駅伝のアンカーで競り勝った経験が何度かある。代表を決めた今年2月の大阪マラソンでも、最後の300mでスパートして順位を上げた。18年大会金メダルの井上にも、22年東京マラソンのラストで追いつき、競り合いの末胸の差で敗れたが、2時間08分33秒の同タイムでフィニッシュした。

三菱重工選手とバーレーン選手のラスト勝負。二度あることは三度ある、となるのだろうか。

暑熱対策にも自信を持つ池田

池田のトレーニングについてはコラムで過去に紹介したが、暑熱対策もしっかりと準備している。レース前に氷を握って体温を調整したり、レース中の給水を少しずつ飲んだり、帽子を途中で変えたりと、日本のマラソン・競歩が培ってきたノウハウを取り入れる。

「冬のマラソンは走りやすかったですけど、夏のマラソンは暑熱対策など戦略的な部分を、色々な方のお力を借りてしっかりやっています」

自身のトレーニングも、暑熱対策もできることはやった。あとはライバルたちを、どう意識して走るか。

「バーレーンの選手がタイムも国際大会の実績も上ですが、格上と意識しすぎたらよくありません。タイムが自分より良くない選手に対しても、油断しないで走ります。やるべきことはやってきたので、自信を持ってスタートラインに立ちたいですね」

バーレーンと中国選手の名前を挙げたが、終盤までスローペースになれば2時間10~11分台が自己記録の韓国、北朝鮮選手も優勝争いに加わってくる。序盤から独走するのはリスクも伴う。日本2選手はラスト5km、10kmのロングスパートで早めに人数を絞る展開に持ち込みたい。