2社が全く同じミス「建物含んだ価格」で比較

 この不動産鑑定をめぐって、新たな問題が発覚しました。それは、2019年と2021年に日本不動産研究所とarecが発行した“4つの不動産鑑定評価書”にありました。

 IR用地の賃料の不動産鑑定では、「取引事例比較法」という手法が使われています。これは、鑑定を行う土地と似た取引を行った「取引事例」を参考に、土地の環境や事情などを補正したうえで価格を鑑定する手法です。土地の鑑定をする際には、本来は“土地の取引価格だけ”を使用する必要があります。しかし、今回のIR用地の不動産鑑定で2社が採用した「福岡市の取引事例」で、“建物を含んだ価格”で比較するミスがあったことがわかりました。

 関係者によりますと、不動産鑑定業界では、2020年の夏頃まで、他府県の取引事例を調べるためには、各都道府県の鑑定士協会を訪れ、専用のパソコンでデータベースを閲覧しなければいけませんでした。今回のIR用地の鑑定では、1回の鑑定につき3~4つの取引事例が集められ、日本不動産研究所とarecは全国から取引事例を集めていました。全国に数多くある取引事例の中から、日本不動産研究所とarecは、2019年の鑑定で2つの取引事例が同一、2021年の鑑定でも同じ2つの取引事例を使っています。

 その中で、2社が同じミスをしたのは、福岡県の取引事例で、福岡市が2018年に売却した「青果市場跡地」、現在の「ららぽーと福岡」のものです。しかし、これは福岡県の鑑定士協会のデータベースに登録されていなかったことがわかりました。