開発の原点は“視覚障害者にもスポーツを楽しんでもらいたい”

さらに、今後のレース展開を予測するような実況も。

AI実況
「2番手のTKRIがトップを走るapr デンソーレクサスとの差を44.1秒にまで縮めています!このままのペースでいけば逆転も視野に入ってきました!

この“逆転も視野に入ってきました”という表現。実は、AI自らタイムなどを計算した上で、逆転の可能性が高いと判断し、出てきた実況です。先の展開を読みながら、この先の見所を伝えることもできるのです。

2022年に、このAIの開発を始めた志村さんは、そのきっかけについて…

実況AIを開発した 株式会社電通 志村和広さん
「スポーツ観戦の現場で、健常者と視覚障害者の方が一緒に行ったときに、視覚障害者の方が、いま何が起きているかみんながなぜ立ち上がって興奮して喜んでいるのか、そういうことが全く分からない。

(現場に)行ってもその中に入っていけないから、行きたくないなと思っているということが分かった。

テクノロジーの力で、そういった方々のスポーツ観戦を楽しくすることができないかと思った」

視覚障害者にも、スポーツを楽しんでもらいたい。それが開発の原点でした。

この日会場では、視覚障害者の方がAI実況を体験していました。

AI実況
「ROOKIE RacingはST-XとST-Qの2つのクラスにまたがり、計3台が出場しています。ヘルムモータースポーツ、セクター4に突入しました」

喜入キャスター
「(AIの実況は)いかがでしたか?」

AI実況を聞いた視覚障害者の方
「車ということもあって、迫力がすごい。ちゃんと順位とかもはっきりしていて、ドライバーの情報も教えてくれて面白い」

AI実況を聞いた視覚障害者の方
「このような感じでたくさん情報を提示していただければ、周りが何で盛り上がっているのかなどが分かって、一緒に楽しめるのかな」