“カメラに映らない車”も実況

まだまだ人間のような自然な発声ではありませんが、レースの状況を的確に実況することができています。その仕組みはというと、まず、観客席に設置したカメラの映像をAIが分析し、車を識別します。

喜入キャスター
「車はあっという間に通過していきますが、1台、2台、3台、まとめてしっかりと識別しています」

AIには、事前に撮影した参加車両の走行シーンの写真を学習させておきます。
レース本番は、カメラが捉えた車と、事前に学習した写真をリアルタイムで比較し、どのチームの車なのか瞬時に判断していきます。

その判断基準は、車の色なのか、なのか、さまざまな要素を解析しながら、AIが自ら考えているそうです。

また、コースを外れた車も見逃しません。

AI実況
「現在2位のデンソーレクサス、ここでピットインを選択です!レースは現在37周目を迎えています。ドライバーチェンジを行うのでしょうか?」

あらゆるところに目を配り、ピットインする車についても、しっかり実況します。

今回設置したカメラは1台しかないので、カメラに映らない車もありますが、そうした車についても、チェックポイントの通過タイムをもとに、実況を作り出すことができます。

また、プロのアナウンサーの実況フレーズを学習していて、それぞれの状況に適した表現を、AI自ら考えているそうです。

AI実況
「もてぎの王者の座につくのはどのチームか!?ストレートを駆け抜ける!突っ走れ!

その差16.7秒、ジリジリと差が縮まってきている!このレースを制するのはどちらのチームか注目です!」

目の前の動きはカメラの映像から、見えないところはデータから情報を得ることで、AI独自の実況が自動で生成されていくのです。

AI実況
「最終セクターに入ってきました、4番手、DAISIN MP。そして、すぐ後ろを追いかける5番手、KCMG。わずか1.9秒の差で熾烈な争いが続いている!

DAISHIN MP、このリードを維持できるか!KCMG、どこまで迫ることができるか、注目です!」

喜入キャスター
「今目の前で起こっていることを丁寧に押さえていくという実況の基本が、完璧にできています。タイム差も、10分の1秒という人間ではなかなか難しいようなタイムも、あっさりとさばいていきますね」