「先送りできない」水道管の老朽化

しかし、水道料金が値上げされたのには、やむを得ない事情があります。

その大きな要因の1つが“老朽化”です。

石巻地方広域水道企業団の担当者
「もともとの既設の管は昭和48年(1973年)に敷設された管になります。50年近くなることになります」

水道管の法定耐用年数は“40年”。新たな管に交換する工事が行われていました。多くの水道管が高度経済成長期に作られたため、各地で一気に耐用年数を超えているのです。

問題は更新費用です。

老朽化した水道管は石巻市と隣の東松島市の2つの市だけでも約600km。1000億円近い膨大な費用がかかります。

さらに、浄水場も老朽化。

地域の水道を運営する企業団は、今後40年間で1543億円もの巨額の財源が必要だと試算。

石巻地方広域水道企業団 佐藤義浩事務局長
「先送りにはできない。すぐにでも着手していかなければならない。そのために料金の値上げも検討しなければならない」

こうした老朽化は深刻な事態をもたらします。

2021年、和歌山市で崩落した水を送るための橋。13万8000人が1週間水の出ない生活を強いられたこの事故も、老朽化が原因でした。

老朽化による水道管破裂は、日本全国で年間2万件以上起きているといいます。

20年後までに水道料金の値上げが必要な自治体は94%に上ると予測されていて、安くて安全な水道は今後どうなるのでしょうか?