今月末で製造終了が決まっていた、山口県宇部市の松月堂製パンの「包装パン」が、継続して製造・販売されることになりました。会社を動かしたのは、多くの人たちの熱い思いでした。
関谷名加アナウンサー
「『さくらっ子』に『牛乳パン』!宇部市民はもちろん、多くの県民にとって、なじみ深いパンなのではないでしょうか。これらのパンがすべて消えてしまう…製造終了の発表があったのは、今月1日のことでした」
山口県宇部市に本社を置く、1934年創業の松月堂製パン。1953年から、スーパーなどで販売する袋に入ったパン、「包装パン」の製造事業を始めました。「さくらっ子」や「牛乳パン」など、60年以上親しまれてきた味もあります。しかし、原材料や運送費の値上がりを受け、今月末をもってすべての「包装パン」の製造を終了すると発表していました。

松月堂製パン 井上聖子マーケティングディレクター
「これほど弊社のパンが愛されていたのかと本当に驚くばかりで」
SNSのコメント
「牛乳パンを食べることが実家に帰る楽しみでした…本当にさびしい」
「さくらっ子だけでも残してほしい」

松月堂製パンのSNSに、多くのコメントやメッセージが寄せられたのです。さらに、製造終了の記事がネットニュースに上がると…
井上さん
「絶対ずっと続くと思っていた物がなくなることもあるんだっていうのを今回知ったのでとかっていうようなお電話をいただいて」

県外に住む山口県出身者からもたくさんの惜しむ声が寄せられました。また、食べ収めなのか。インターネット注文も増え…
注文の備考欄への書き込み
「小さい頃に食べていた記憶があります。今でもずっと忘れられない思い出の味です」
注文時に客が入力する備考欄に、パンへの熱い思いがあふれていたといいます。そして…
井上さん
「山口県内の中だけでも、どうにかいろんな配送の方法とか納品の数とかを見直して販売しようかなと思いました」
たくさんの応援の言葉を受けて社内でもう一度話し合った結果、包装パンの継続が決まりました。ただ、すでに業態変更の準備を進めていたため…
井上さん
「けっこう社内大混乱、ははは」
今後は種類をおよそ半分の16種類に絞り、配送方法を見直すなどして、無理のない形で販売していくということです。