世界では性犯罪者の氏名や居住地を公開する厳しい対策も

23ジャーナリスト 宮本晴代記者:
加藤さんは、今も心理カウンセリングを受けたり、同じ病を抱えている方の自助グループに参加したりして、治療を続けています。今回、加藤さんが顔を出して取材に応じてくれた理由は、適切な治療があれば、加害行為を繰り返さない、つまり、被害を減らすことに繋がるということを伝えたいという気持ちがあったためです。
小川彩佳キャスター:
永井さんは紛争地で犯罪者の社会復帰を支援されてきた経験がありますが、今の証言を聞いてどんなふうに感じましたか。

NPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事 永井陽右氏:
証言にもあった通り、「小児性愛障害」と診断されていた。それは「治療が必要なものなんだ」と認識することが大事だと思います。そういった認識があれば、自分にそうした欲求があると思っている人が安心して相談できる。そして治療に繋げられる。そうした環境作りが不可欠なのかなと思います。必要とする人々にどのようにリーチできるかが鍵なのかなと思います。
小川キャスター:
まずは気付いてもらうということが難しいところですよね。
永井氏:
恥ずかしいとか、もしかしたら怒られるんじゃないかとか、相談のしにくさというものがあるのかなと思います。
小川キャスター:
一方で、被害者側は100%悪くなく、性暴力で被害を受けた方々のダメージというのは、 “魂の殺人”とも言われます。世界の子どもの性被害対策もさまざまです。

▼イギリス
子どもへの犯歴のある人を雇用することは犯罪
▼アメリカ(カリフォルニア州)
Webで性犯罪者の氏名・居住地などとを公開
▼韓国
裁判所が犯歴ある人に一定期間の就業制限命令
パトリック・ハーランさん:
海外のDBS制度を見ると厳しさはさまざまで、アメリカは対策の厳しい州だと、例えば学校や公園の近くに住めないとか、オンラインで名前や住所が公開される。そうなると、仕事もしづらい、住居もなかなか見つからない。さらには、まともな大人同士の恋愛もしづらくなるんですよ。そうすると、社会復帰も遅れて、再犯防止にはなかなか繋がらないという考え方もあります。
ただ、それぞれの制度をしっかり検証して、ちゃんとした制度を早く作らないと、被害者を次の罪から守れない。加害者の権利も大事ですけど、守らなきゃいけないのは、まず被害者側の皆さんですよね。














