多角的な視点で様々な意見を聞いていく「voice23」。今回は、ジャニー喜多川氏の問題などで浮き彫りになった「子どもの性被害」についてです。いかにして被害を防ぐのか、早急な法整備を求める声も高まっています。そもそも子どもを狙った性犯罪はなぜ起きてしまうのか、ある加害者を取材しました。

10人以上の子どもに性加害をした男性「子どもの命奪いかねない」

取材に応じたのは、東京都に住む加藤孝さん(61)。

加藤孝さん
「最初に性的魅力を感じたのは、中学生のときでした。映画の中で、思春期前の男の子たちが上半身裸でじゃれまわるシーンにトキメキを感じました」

加藤さんは中学生のときから20年以上にわたり、10人以上の子どもたちに性加害をした過去を持ちます。大学生のときには、家庭教師として教えていた男子中学生に対し、指導を装って体を触るなどの加害行為をしたと話します。

加藤さん
「この被害者(家庭教師の教え子)が相手ならば、安全に加害できると思って」

30代後半の時、加藤さんはある事件を起こします。

カッターナイフと粘着テープ、ロープを準備し、1人で遊ぶ小学生の男の子に声をかけ、公衆トイレに連れ込みました。その後、わいせつな行為をしようとしましたが、逃げられ、近くの交番に自首しました。

加藤さんは強制わいせつ未遂の罪で起訴され、裁判で懲役2年、保護観察付き執行猶予4年の有罪判決を受けました。

加藤さん
「トイレの個室に残ってすごく怖くなった。このままでは、自分は子どもの命を奪いかねないと思って…」

加藤さんは事件の後、子どもを性の対象とする精神疾患「小児性愛障害」と診断されました。今でも治療を続けていて、事件から20年余り経ちますが、加害行為はしていないと話します。

加藤さん
「私たちの病気は、回復はするけど治癒はしない。自分が生きている限り、万が一にも加害をしてしまう可能性がある。性加害を避けるために有効なことだったら、どんな制度の適用も私は受け入れようと思う」