昨年の今大会で女子100m日本歴代2位の兒玉
復活を期す選手としては、女子100mと200mに出場する兒玉芽生(24、ミズノ)、男子400mの岩﨑立来(23、三重県スポーツ協会)も注目される。
兒玉は昨年の全日本実業団陸上2種目で優勝。100mは11秒24(+1.3)の日本歴代2位、200mも23秒41(-1.0)と、ともに大会新をマーク。今季は100mで日本記録(11秒21)更新の期待も大きかった。
しかしシーズン前半は、5月の木南記念の11秒76(+1.4)が最高で、日本選手権はケガのため欠場した。
復帰レースとなった8月の九州選手権は、向かい風が強く記録的には良くなかったが、9月に出身地の大分県の大会で11秒67(+0.5)までタイムを上げてきた。相性の良い全日本実業団陸上で、どこまで記録を伸ばすかが注目される。
岩崎は昨年の世界陸上オレゴンに、混合4×400mリレーのメンバーとして出場。今季は日本選手権後に、45秒19と世界陸上ブダペスト参加標準記録(45秒00)に迫るタイムをマークした。だが、代表に選ばれた8月の世界陸上ブダペストは、「ケガのため」出場を辞退。
しかし8月には100mで10秒65(-0.8)と、特別速いタイムではないものの、自己記録を更新した。自身の中でのスピードは上がっている。
佐藤拳太郎(28、富士通)が44秒77の日本新、佐藤風雅(27、ミズノ)も44秒88の日本歴代3位を、ともに世界陸上ブダペストでマークした。中島佑気ジョセフ(21、東洋大4年)はブダペストで45秒04(日本歴代5位)を出しただけでなく、アベレージの高さもあり、日本選手権優勝など勝負強さもある。
岩崎が全日本実業団陸上でその3人の争いに加わっていくタイムを出せば、来年のパリ五輪4×400mリレーのメダル獲得に向けて明るい材料となる。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)