「オンラインでの集い」で感じたもどかしさ…訪ねた先は兄の“恩師”

兄を失い悲嘆にくれていた伸子さんですが、兄の患者のことが心配になり、3か月前から始めたことがあります。元患者や支援者らが立ち上げた「オンラインでの集い」に院長の妹として参加しているのです。
【オンラインでの集いの様子】
(発言する伸子さん)
「近々でもちょっと遠くてもいいんですけど、やりたいことってありますか?」
この日、患者3人の話を2時間にわたって聞いた伸子さんですが、体調や心境を聞くくらいしかできず、もどかしさを感じていました。

兄が大切にしてきた患者たちとどう向き合えばいいのか。今年4月、伸子さんは公認心理師の土田くみさん(50)のもとを訪れました。20年以上、心理カウンセラーを養成する講座を開いている土田さん。実は、14年前に西澤院長にカウンセリングを教えていた、いわば恩師です。

(伸子さん)「素人の私が患者さんに寄り添うことってしていいのか…」
(土田さん)「西澤先生の妹さんとしていらっしゃるだけで皆さん救われると思いますよ。自分たちの中に入ってくれたというだけで、それが誠意」

少しでも兄の力になりたい。土田さんからの提案で、伸子さんは本格的にカウンセリングを学ぶことにしました。心理学の基礎を学び始めたところですが、ゆくゆくは資格を取り、兄の患者たちに寄り添っていきたいと考えています。
(西澤院長の妹・伸子さん)
「人が喜んでいる姿を見るのが私の喜びなので、その人が少しでも気が楽になったって言っていただけたら、自分としての存在価値があったのかなというふうには感じます」