保険金を言い値で決められる仕組みが水増し請求を助長か

小川彩佳キャスター:
ここからは、経済担当デスクの片山薫さんに聞きます。
保険会社が査定に甘いどころか査定をしないという、“完全査定レス”という仕組みがあったとすれば唖然としてしまいますが、関係者も「理解できない」と話すこの仕組みがあったとすれば、なぜ導入されたのでしょうか?
経済担当デスク 片山薫氏:
まず“蜜月”という言葉があり、ビッグモーターと損保ジャパンは非常に親密な関係だったわけですが、そのなかでさらに利益を高めようという狙いがありました。
ビッグモーターから考えてみると、保険の査定に損保ジャパンが関わらないことで、保険金の支払い額を、ビッグモーターがいわば“言い値”で決められてしまう状態にあったということですね。この甘い仕組みが、水増し請求を助長した可能性があります。
一方、損保ジャパンにとっては、保険会社の根幹となる査定を省略するという、これまた異例の対応です。ビッグモーターの都合の良い仕組みを作って、その代わり多くの客を紹介してもらおうという狙いだったとみられます。
小川キャスター:
ただ、これは結果的に多くのしわ寄せが保険契約者にいくわけで、大きく信頼を裏切る行為ですよね。
経済担当デスク 片山薫氏:
そうですね、まさにその点を金融庁は重視しています。「契約者の保護の観点から問題があったのではないか」とみて、9月19日に損保ジャパンに立ち入り検査に入ります。

もう一つ重要なのが、完全査定レスが導入された時期です。
この仕組みが展開されたのは2019年4月でした。でも9月8日に辞任を発表した白川社長は、2022年4月に社長になっています。つまり、その前の体制や経営判断はどうだったのかというのも問われかねない事態だと思います。