■どうして武器が“足りない”? 専門家が分析する2つの理由

上村キャスター:
今までも軍事支援はあったわけですが、どうして武器が足りないという状況なんでしょうか?

アレストビッチ大統領府顧問
「欧米から武器が届き準備が完了する。6月の中旬以降に反転攻勢が可能になる」
(5月5日 現地メディアのインタビュー)

現在は6月中旬になったわけですが、武器が足りない理由について、明海大学・小谷哲男教授に話を聞くと、2つ理由があるそうです。


(1)武器輸送の手続きや使用マニュアルの作成が遅れている

実は武器はウクライナに直接送られるわけではなく、ドイツに送られて、ドイツでウクライナ兵が訓練をしてから、ウクライナに武器が送られるということです。そのため、手続きであったり、武器を使いこなすためのマニュアルの作成が遅れているのではないか。

(2)激しい攻防戦が続いていてドイツでの訓練に参加できるウクライナ兵がいない

ホラン千秋キャスター:
いま、ウクライナ軍というのは、どのような状況にあるんでしょうか?

笹川平和財団 畔蒜泰助主任研究員:
指摘があったように、ロシア軍に相当押されているという状況で、おそらくロシア軍との比較において、やはり圧倒的に火器が不足をしているということだと思うんです。
先ほど小谷教授が、いろいろな手続き上の問題をご指摘されていましたけども、もう一つ可能性があるとしたら、6月8日付けのニューヨーク・タイムズが報じていたのですが、ウクライナ政府が現在進行中の戦闘において、アメリカに対して必ずしも自分たちの目的や戦況を積極的に情報シェアをしていないんじゃないかという話があるんですね。
もしかしたら、その辺りのコミュニケーションの不足も今回のこういう形の武器の供与の遅れに繋がっている可能性があるんじゃないかと思いますね。

ホランキャスター:
正しく現状を把握できないでいるということでしょうか?

畔蒜主任研究員:
アメリカ側が正しく現状把握できない状況が、どうやらあるんじゃないかと。さすがに最近は積極的に情報を出すようになってきたと指摘されてますけども、ここまでの間で、そういう状況があったんじゃないかという話が出てますね。

井上貴博キャスター:
なぜアメリカが現状をあまり把握できていないのかというのと、あとずっとロシア軍が劣勢でかなり厳しいと士気も下がっているという報道があった中で、ロシア軍が優勢になってきたのは、なぜなのでしょうか?

畔蒜主任研究員:
基本的にロシア軍の方が火器も戦力も、数の上では勝っているということなんだと思います。ただそれをウクライナ側が、欧米の武器を積極的に使うことで、それをこれまで押し返してきたということだと思いますけれども。
特にロシア側が今、積極的に長い射程の武器で攻撃をしているということ、これに対してウクライナ側がそれに対抗する射程の武器が不足しているというのが今の戦況の逆転に繋がっているということだと思います。

■プーチン大統領“肝いり”イベント開催 欧米諸国は不参加

上村キャスター:
続いてロシアの動きです。プーチン大統領が毎年参加している肝いりのイベント「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」が今、開催されています。
2018年、安倍元総理も参加するなど、例年140か国以上参加していましたが、今年は、欧米諸国が不参加となっています。さらには現地時間の17日には、プーチン大統領「国際経済状況とロシアの近未来における課題」について演説する予定だそうです。

井上キャスター:
外交交渉は全く行われていない状況ですか?

畔蒜主任研究員:
今回の、このサンクトペテルブルクの場では、基本的にこれは経済フォーラムですので、外交交渉というのは行われていないということですね。