6月16日は「和菓子の日」です。平安時代、疫病退散を祈り天皇が菓子を供えたことが起源だともいわれています。そんな日本の伝統、和菓子のユニークな一面が、SNSのあるアカウントで発信されています。

 動物をモチーフにした生菓子に、県北のオリジナルキャラクターをデザインしたものも。投稿者は「栄宝堂の名もなきクリエイター」。性別も年齢も謎です。

(リポート)
「二戸市の栄宝堂堀野店です。クリエーターの気になるその正体を探ります」

 店内にはSNSに掲載されていたかわいらしい「練り切り」をはじめとした和菓子のほか、洋菓子やパンなども並んでいます。

「写真をSNSに投稿されているクリエーターさんはいらっしゃいますか?」
「私です」
「(名もなきクリエーターさん?)そうです。はじめまして、ようこそ」

 「栄宝堂の名もなきクリエイター」こと小松徳雄さん。創業43年の店の二代目で、普段は工場内で自らのアイデアを形にする、この道40年の職人です。小松さんがSNSを始めた理由は…

(小松さん)
「最初は自分の作ったものを見てもらいたくて始めたんですよ。今はフォロワーが増えるにつれて、発信すればすぐ返事が返ってくる。やってよかったなと思います」

 小松さんの和菓子作りにおけるキーワードは、ずばり「かわいい」です。

(小松さん)
「かわいいと、どうしても手に取りたくなるとか、身近なんですよね。小さい子供をもった年層の方がある程度多いので、そういうふうなところもターゲットにしながらお菓子も作ってます」

 5年ほど前、キャラクターをデザインした生菓子がほしいとお客さんからリクエストを受けたことがきっかけで、今では地域の催しと絡めた作品など、数々のレパートリーを生み出しています。なんと、こんなサプライズが。

(小松さん)
「こちらなんですが。(え~!人の顔!私?)弦間さん作ってみました。お気に召していただければいいんですが。(すごい!)」

 見て、楽しんで、笑顔になってもらえたらと創作を続ける小松さん。そこには和菓子に抱かれる重厚なイメージや、若者の「和菓子離れ」を懸念する思いがありました。

(小松さん)
「みんなで集まってかわいいわね、これいいわね、おいしいわね~と場が和む、そうすると小さいときから生菓子に触れる機会も出てくる、そうしないとなかなか生菓子に触れる機会が無いと思うんですよ。小さいときからも触れてもらえれば、たぶん大きくなっても、生菓子があるっていうのを知ってもらえる、そこも考えて作ってますね」

 幅広い世代に届けようと、製法や四季の表現などの伝統と時代の流れを大切にしながら、SNSでつながるしかけを楽しむ「栄宝堂の名もなきクリエイター」。
 きょうもまた、和やかな笑顔を咲かせる和菓子の新たな案を練っています。