承認から“取り消し” そして裁判へ

謝花沖縄県副知事(当時)
「本日、当該埋めたて承認を取り消しました」

5年前、仲井真元知事が行った埋め立て承認を撤回した沖縄県。その理由の1つが、沖合いで見つかった軟弱地盤の存在でした。

承認後、新たに分かった軟弱地盤問題を切り札に、移設工事の阻止を目指します。
撤回によって工事はストップ。およそ2か月の間、膠着状態が続きましたが、国は対抗措置として、「撤回」の効力を一時停止し、工事を再開させます。

記者レポート
「辺野古の青い海が土砂で茶色く染まっています」
この年の暮れ、国は土砂を投入し、工事が加速。埋め立ては本格化していきますが、その賛否を問う県民投票では、投票総数のおよそ7割が反対の意思を示す結果となりました。

(県民)
「たとえ8割9割基地が完成しても、反対は反対という気持ちに変わりないと思います」

民意を追い風に県は司法に訴え、3つの裁判を提起しますが、取り下げた1件を除きいずれも県の敗訴が確定。一方、国も追い込まれていきます。
岬を挟んだ南側が、徐々に陸地化していく間も、その反対側では、軟弱地盤がネックとなり、埋め立てはできず、着手できたのは一部の護岸工事のみ。

地盤を改良し、工事を進めるため、沖縄防衛局は改めて県に承認を求める設計変更申請書を提出します。

河野防衛大臣(当時)
「(設計変更は)移設工事を着実に進め普天間飛行場の一日も早い返還を実現し、その危険性を除去することに繋がるものと考えている」

申請書によると、工期はおよそ1.5倍(8年→12年)、費用はよそ3倍(3500億円→9300億円)に。県は、1年7か月かけて審査します。

玉城知事(2021年11月)
「普天間飛行場代替施設建設事業に係る、埋め立て地用途変更、および設計概要変更承認申請について本日、不承認とする処分を行いました」

防衛局の地盤調査は不十分などとして、おととし県は申請を不承認としました。
その後、国は対抗措置をとり、承認するよう迫る「是正の指示」などを出し、県は再び司法に訴え、争いは最高裁にまで発展。
軟弱地盤をめぐり工事を進めたい国と、これを阻止したい県との間で続いた攻防は、きょう、県の敗訴という1つの区切りを迎えました。