ストライキで臨時休業となった西武池袋本店の前には「授業で習ったことが日本で起きてる」と話す高校生の姿も。61年ぶりの百貨店ストライキは回避できなかったのか。舞台裏では労使双方ギリギリの交渉が行われていました。
「政経の授業で習ったことが実際に起きてる」
高校生
「ストライキやってるって聞いて、珍しくて見に来た。実際に政経の授業とかで習ったことが、実際の日本社会で起きてるっていうのが興味深いなって思った」

店の前では、臨時休業を告げる貼り紙をもの珍しそうに写真に収める人の姿が見られました。
東京・池袋の西武池袋本店は8月31日、異例のストライキに入り、全館で臨時休業となりました。大手百貨店でストが行われるのは61年ぶりです。
20年以上池袋に住む人
「歴史的瞬間を見たいなと思って来た。レストランとか下のデパ地下とかも来た。お正月とかに親しい友人と一緒に行って、フランス料理を食べたりした思い出がある」

70代
「池袋の西武って顔だと思っているから。ゴルフ用品から日用品からお歳暮からお中元から全部(ここで買っていた)。寂しいですよ」

店の周辺で行われたのは…
「池袋の地に百貨店を残そう!」

「そごう・西武」の労働組合員などおよそ300人が集結。気勢を上げました。デモ行進には同じ百貨店の高島屋や三越伊勢丹の労働組合も参加しました。
そごう・西武をめぐっては、親会社のセブン&アイ・ホールディングスが去年11月、業績低迷を理由にアメリカの投資ファンドへ売却する方針を決定。売却後には、家電量販店大手ヨドバシホールディングスが大規模出店する計画も示されました。

セブン&アイHD 井阪隆一 社長
「多くのお客様、関係者にご迷惑を大変おかけしております。申し訳ございません。ストが長引かないよう、精一杯収束に努めてまいります」

セブン&アイは8月31日、臨時の取締役会を開いて、そごう・西武の売却を決議しました。その後、井阪社長がそごう・西武の本社を訪問し、売却決議について説明しました。
セブン&アイHD 井阪隆一 社長
「(Q.売却決議したがきょうはどんな話を)…」

西武池袋本店は今後どうなっていくのか。街の人は様々な思いを巡らせています。
「違う雰囲気を味わいたいときは百貨店で買って、プチリッチな気分。外食ほどじゃないけど、気持ちを潤す」
「真心込めた接客っていうのが百貨店らしさだと思うので、そういうのを残しつつ、今の形に合った消費者のお買い物スタイルに合わせて残っていって欲しい」
労使の溝が埋まることなく、異例のストにまで発展した、そごう・西武の売却交渉。
そごう・西武労働組合 寺岡泰博 委員長
「結果を変えられなかったというのは残念だし、悔しい気持ちもあるが、経営難というのも事実でありますので、そのなかで我々がどう変わっていけるのか」

今後、新たなオーナーと事業の継続や雇用維持について、引き続き、協議を続けていきたいとしています。