開所から3か月目の自衛隊石垣駐屯地の正面ゲートに行くと、警備の自衛官が銃を携行していた。この銃は、誰に対して向けると想定しているのだろうか。

金平キャスター
「今、特に本土の人に一番言いたいことは何ですか? 」

石川真生さん
「本土の人だとかさ、沖縄の人だとかさ、何とかって言うのじゃないよ。と言いながら、私は本音では“ヤマト(日本)が馬鹿たれ”と思うわけ。ヤマトが馬鹿野郎と思うわけ。それが本音だよ。沖縄は、特に、島々はまるで言葉は直接こう言っているわけではないけれども、ヤマトが生き残るために犠牲になりなさい、と言っているみたいなもんにしか聞こえないわけ。だからね、沖縄の人がよく言うのはね『再び沖縄を戦場にするのか』という言葉があるでしょ。あのフレーズは私も好きじゃないんだけど、でも、それは現実にあったわけだよね。私も身内が死んだし。だからそれはさ、そのために私の身内はヤマトの人が嫌いという人がいるわけよ。感情としてね。だから私が、ヤマトの人(自衛官)と結婚するとなった時、反対しよったよ。うちの親の親類は」

真生さんは、これまでに3回、癌の摘出手術を受けた。医者に止められながらも、命を削るかのように、写真を撮り続けている。

石垣島は、自衛隊による前線基地化が急ピッチで進められていた。北朝鮮による弾道ミサイル実験に対応するために、迎撃ミサイルシステムPAC3が今も配備されている。

金平キャスター
「目の前にPAC3が見えます。こんな近くで見られるとは思わなかったんですけど、この人工ビーチは、7月に一般市民に開放されるので、この後、どうするんでしょうかね」

半世紀撮り続けてきたのは沖縄の人の強さ

2021年3月、石川真生さんは、それまでの写真家生活の集大成として、那覇の県立博物館・美術館で、大規模な写真展を開催した。

写真家としての真生さんの評価は今では海外にも広がり、ニューヨークのメトロポリタン美術館にも作品が収蔵されている。

早稲田大学教授 G・ドボルザークさん
「“(沖縄は)植民地支配されている”と、やはり被害者ではなく、サバイバー=乗り越えてきている人たち、その強さ」

映像批評家 仲里効さん
「かつて若い頃のイメージというのは、ギンギラギンのパンクお姉さんという感じ」

キュレーター・批評家 天野太郎さん
「ミイラ取りがミイラに実はなる直前なんですよ。ミイラ取りがミイラになってない」

ポスターに使われたのが、親冨祖さん一家を撮ったこの写真だ。

親冨祖愛さんは、父親は基地のアメリカ黒人兵。母は沖縄の女性。子どもの頃、差別の視線を浴びながら、生きてきた。

4年前、4人目の子どもを「自力出産」した。真生さんは、愛さんに沖縄の女性の強さを感じている。