火災旋風から逃げ惑い、九死に一生を得た人たちの証言。東京大学・総合防災情報研究センターの関谷直也・准教授に、証言の内容について聞きました。

関谷准教授
「地震火災の後、不安感の中で避難した人たちの証言が多い。改めて防災を考えるきっかけになる証言ではないでしょうか」

関谷准教授が、特に重要だと指摘するのは、「避難先を事前に決めていなかった」という証言です。

関谷准教授
「関東大震災が起こる前に、『どこどこに避難しろ』、例えば『被服廠跡に避難しろ』ということを、誰も聞いていないと答えていました。だからこそ、逃げ惑ってしまった。これが、関東大震災の大きな教訓になると思います。火災に巻き込まれる前に逃げるということは、今は避難の大原則ですが、現代に生きる我々は、これほどの大規模な地震火災からの避難を経験していません。災害時は、あらかじめ避難する場所を決めておく必要があることを伝える重要なメッセージだと思います」

今後起きるとされている首都直下地震でも、木密地域で複数の箇所から出火、地震後の渋滞などで消防車がたどり着けず、大規模火災に発展、火災旋風が発生する可能性があります。避難場所に持ち込まれた家財道具が被害を拡大させたことも、教訓とすべきだと思います。

【関東大震災から100年 あす巨大地震が来たら ディレクター・神保圭作】