世界から孤立する戦争を推し進めながら国内の支持率は80%と依然高い評価のプーチン大統領。その土台に何があるのか・・・。ロシア国内では今、愛国教育とスターリンの再評価が進んでいると聞く。その実態を紐解いた。
■面白いコンサートがあるというので行ってみると、いつのまにかZ旗を振っている・・・
ロシアの独立系調査機関レバダセンターが6月、興味深いデータを公表した。
「ロシアは正しい方向に向かっているか?」という問いに対し、55歳以上ではYES=75%、NO=16%だったのに対し、18歳から24歳ではYES=53%、NO=40%。

つまり、国が流すテレビを中心に情報を得てきた世代に比べ、SNSで情報を得る世代は、ロシアが正しい方向に向かっていると思わない人が倍以上いるということだ。
この傾向を懸念してか、プーチン政権は青少年の愛国教育に力を入れているという。あるコンサートをのぞいてみると、アーティストがステージ上で軍をたたえる歌を熱唱し、若者たちはロシア国旗やZ旗を振っている。主催するのは2015年大統領令で設立された青少年の愛国教育組織「ズナーニェ」だ。
防衛研究所 兵頭慎治 政策研究部長
「(SNS世代を取り込む方法も)このコンサートのように変わってきていて、プロパガンダを前面に押し出すのではなく、何かのイベントかと思って行ってみると愛国的なものだったりZマークがあったり・・・。愛国教育の施し方も上から押し付けるのではなく自然と浸透させようとしている」
この「ズナーニェ」以外にも、子供たちにプーチン氏を個人崇拝させる取り組み「ナーシ」や8歳から18歳が参加する軍事訓練「ユナルミヤ」など様々な仕組みで、プーチン氏は若い世代に愛国心を植え付けようとしている。

■「ナーシを作る時には共産主義少年団や青年団の運営様式を模倣した」
ロシアの愛国教育は少年向けの小説にも出て来るというというのは番組のニュース解説、堤伸輔氏だ。
国際情報誌フォーサイト元編集長 堤伸輔氏
「昔、ソ連の少年向け小説を読んだ。そこに共産主義少年団・ピオネール(10歳から15歳)が出てくる。この中の優秀な子が大きくなるとコムソモール・共産主義青年団に昇格していく。ここは何をやっていたかというと、分かり安く言えばスパイや密告者の養成をしていた。実はこれを利用したのがスターリンで、ウクライナの人を抑圧するのに使った。ホロドモールというウクライナの大飢饉があって、その時豊かな農民から財産を奪って強制収容所に入れたりした。その時に使われたのが少年団と青年団だった。今のナーシやユナルミヤを見てるとその再現になるのではといった嫌な気分になる。実際ナーシを作る時には共産主義少年団や青年団の運営様式を模倣したといわれている・・・」
このスターリンがなぜか今、ロシアで再評価されているという・・・。

















