太平洋戦争中に撮影された1枚の写真。かつて愛媛県新居浜市にあった軍事施設の前で撮られた、貴重なものであることがわかりました。画像が物語る戦争とは。

敵の飛行機を見張るための施設「防空監視哨」

郷土の歴史や文化などを研究する民間の団体「伊予史談会」のメンバー、多田仁(ただ・じん)さん(56)。7年にわたり防空監視哨(ぼうくうかんししょう)と呼ばれる軍事施設を調査しています。

太平洋戦争中に作られた防空監視哨は、敵の飛行機を見張るための施設です。敵機の飛来を確認すると本部に伝えられ、その情報をもとに各地に空襲警報が出されていました。ただ、わずかに現存している跡地以外に、監視哨に関する記録はほとんど残っておらず、詳しい実態はわかっていません。

多田さんが今年入手した1枚の写真。新居浜市にあった監視哨の前で、1943年に撮影されたと見られています。多田さんは「監視哨の見張り担当=哨員(しょういん)と女性たちが写った写真は極めて珍しい」と話します。

多田さん
「今まで証言や記録で得られていた女子青年団あるいは勤労奉仕隊、挺身隊みたいなもの。そうした女性たちが慰問に来ているという事実が、ここではっきり写真に残されたということですね」