声変わりする前のあどけない男の子。しかし右手にはライフル銃が…。長年、イスラエルとの軍事衝突が続く、中東・パレスチナ自治区ガザ。巨大な壁に封鎖されたこの町で、武装組織の軍事訓練キャンプに参加する13歳の少年がいました。

「お父さん!僕のお父さん!」号泣していた少年が豹変

ガザとイスラエルの境界線に建てられた巨大な壁。

壁を作ったイスラエル軍は、ガザに銃口を向け、住宅街にも空爆を行い、命を落とす人が後を絶ちません。

ガザからも、ロケット弾を発射しますが…5月には、イスラエル軍による空爆で、ガザの武装組織の司令官が殺害されました。

遺体は高く掲げられ、数千人が司令官の死を嘆いたのです。

司令官の息子は、父親の死を告げられると…

「安らかにお休みください…お父さんが死んじゃった!お父さん!僕のお父さん!!」

司令官の息子が号泣する様子を撮影した動画は、音楽を付けられ、SNSで広く拡散。人々の怒りを駆り立てました。

それから2か月…。

JNN中東支局 須賀川拓記者「ガザの武装勢力が、子どもたちにサマーキャンプと称して、戦闘訓練を行っています」

隊列をひとり前から見つめるのは、父親を殺され、泣きじゃくっていた、あの少年です。

右手にはライフル銃を携え、「殉教者」である司令官の息子として、戦闘訓練に参加していました。

亡くなった司令官の息子「いま13歳です。こうした戦闘訓練に参加し、殉教者たちが流した血の道をたどります。お父さんのことはずっと忘れません。すべての亡くなった人たちのために戦います」

戦闘訓練の会場には、彼の父親の遺影が飾られていました。小学生くらいの小さな子も含め、顔にペイントした多くの少年たちの姿がありました。

こうした訓練は毎年行われていて、ガザの少年数百人が参加。銃の扱い方などを学び、講義ではイスラエルへの敵対心を教え込まれます。