長く続くロシアによるウクライナ侵攻は、子どもたちの心に深い傷を残しています。親を失い孤児となった子どもたちは約1500人に上ります。TBSテレビ「つなぐ、つながるSP 戦争と子どもたち 2023→1945」では、傷ついた子どもの心を癒すため、精神科医の呼びかけで、戦時下のウクライナで開かれたキャンプを取材しました。
紙一面を暗い灰色に染める子ども
7月、首都キーウ近郊で行われた子どものサマーキャンプ。参加した50人の子どものうち、7割が親を失っています。
施設のスタッフ立会いのもと、父親を亡くした12歳の女の子に話を聞くことが許されました。
ーーここではどんなことが楽しいですか?
エヴァちゃん(12)「バドミントン、心理学、英語です」
ーー以前どこに住んでいたか教えてください
エヴァちゃん(12)「マリウポリです」
激戦地の1つだった、ウクライナ東部のマリウポリ。ロシア軍の攻撃で、街の9割が破壊し尽くされました。
ーーマリウポリではどんな思い出がありますか?
エヴァちゃん(12)「とても美しい場所でした。私にはたくさんの友人が・・・」
言葉に詰まったエヴァちゃん。それ以上話すことが難しくなり、インタビューは中止になりました。

心のケアのため、アートセラピーが行われている部屋に行ってみると…自分の好きな色の絵の具を使って表現する子どもたちの姿が。その中で紙一面を暗い色に染める男の子がいました。


精神科医によると、子どもたちが使った絵の具の色に心の状態が表れているといいます。
精神科医「こちらは、両親がいる子どもたちが描いたものです。明るい色の絵の具を使っています。こちらは親を失った子どもたちの感情を表現しています。灰色は悲しみ・心の痛みを表しているのです」
戦争は子どもたちの心に、どんな傷を残すのでしょうか。