日銀の黒田総裁による“値上げ許容”発言が波紋を広げています。きょう国会の場で、発言を撤回しましたが、
実際、街の人たちは相次ぐ値上げを許容出来ているのでしょうか。
渡部峻キャスター:
家計の値上げの許容度も高まってきていると発言した日銀の黒田総裁。8日、表現は全く適切でなかったと発言を撤回しました。
■商店街で50人にアンケート 値上げの許容度「高まっていません」
実際に値上げの許容度高まっているのか、板橋区の商店街50人の方にお聞きしました。(Nスタ調べ)

「高まっていない」 88%(44人)
「高まっている」 12%(6人)
許容度は「高まっていない」と答えた人からは
「実生活をわかっていない」
「ちょっとズレている」
といった意見がありました。
値上げ許容度高まっていると答えた方は
「1~2割くらいの値上げなら何とかやっていけると思う」
このように話しました。
その、発端となった黒田総裁の発言を見ていきます。
都内の講義での発言でした。

6月6日 日銀 黒田東彦総裁
「日本の家計の値上げ許容度も高まってきているのは持続的な
物価上昇の実現を目指す観点からは重要な変化と捉えることができます」
あくまで、1人1人の家計ではなく、日本全体の家計についての発言でしたが、野党から発言について問われると
6月7日 黒田総裁
「100%正しかったかと言われると若干ためらうところがあります」
と話しました。さらに
6月7日夕方 黒田総裁
「誤解を招いた表現だったという事で、申し訳ないと思っております」
と謝罪。そして
6月8日 黒田総裁
「家計が値上げを受け入れているという表現は全く適切でなかったということで撤回いたします」
と、発言を撤回しました。
どうしてこの発言に波紋が広がっているのでしょうか。
物やサービスの価格の推移を示す消費者物価指数をみていきます。

去年の4月から今年の4月まで物価は上がり続けて▼2.5%の上昇
それに対して、賃金は去年の4月から今年の4月まで▼-1.2%下落
(総務省・厚労省資料より前年同月比)
つまり、物価が上昇しても、賃金は下落している。賃金が上がっていない中、やりくりしているのに消費者が、値上げを「受け入れている」ということは、配慮に欠ける表現でした。