■プーチン氏の息の根を止める事態が秋に?ハイエナのように狙う国も


資源大国ロシアの趨勢を左右するのは、先に書いたようにエネルギーの価格だ。現在、価格に力を及ぼせるのはシェールガスを産出できるアメリカ。そして、それに対抗するため中東のOPECとロシアなどの産油国が連合したOPECプラスだ。基本的に今はOPECプラスが原油の供給量を調整することによって世界に出回る石油製品の価格が決定している。現在OPECプラスは協調減産することで、原油価格を高値に安定させているが、その減産の取り決めは今年いっぱい続ける予定だった。

しかし、ロシアが弱っている今、原産の“期限”は早まり、9月からは少しずつ増産方向に向かう見通しだという。これがロシアにとって何を意味するのか…OPECの国が増産に舵を切れば、原油価格は下落するが、ロシア産はそれよりも1バレル40ドルほど安くしないと買う国がないため、場合によっては、ロシアの原油は原価割れの事態になり、エネルギー大国がエネルギーを売れば売るほど窮乏していくという構図になるというのだ。そうなればプーチン氏はより窮地に陥る…EUによる保険引き受け禁止はそこまで狙ったものだというのだ。


JOGMEC 原田大輔 調査役
「海運会社に保険が下りなくなればロシア産の輸出力と言うのも落ちてくるわけですので、それでは値段が高くなりすぎ世界が困る。だからOPECの国で原油を増産してあげようというと大義名分が立つ。言い換えればですね、ロシアのシェアをまさに狙っているハイエナのようにOPECのような供給量を持つ国が、秋ころから10%程度あるロシアの市場シェアを取りに来る可能性が出て来るのです」

(BS-TBS 『報道1930』 6月6日放送より)