EUは年内にロシア産の石油の90%を禁輸にすると発表した。これはロシアにとって大きな痛手になるはずだった。

ところがロシア・ラブロフ外相は「今年はエネルギー資源の輸出による利益が大幅に増えそうだ」と語る。ロシア産の原油はウクライナ侵攻以降、他の原油に比べかなり安く取引されているが、ここ原油価格の世界的高騰によって、ロシア原油も安売りしてもまだ去年よりは高く、売り上げを伸ばしている。とはいえ利益が大幅に増えるというのは“強がり”だというのが専門家たちの読みだ。であるなら制裁は完全に有効、と安易に言い切れない側面もある。

今回は、経済制裁の現実とロシア原油の行方に注目した。

■「中東の石油は転売できないが、ロシアの原油は転売できるんです」

ロシアの石油の輸出量を見てみると、侵攻直後の3月、西側が輸入を減らした分目減りしたが、4月に入ると侵攻前に戻っている。意外にも中国への輸出は目減りしているが、大幅に増えたのはインドだ。インドは軍事的つながりも深く経済制裁にも参加していないため安いロシア原油の輸入量が増えている。この現状をどう見るべきかロシアのエネルギー事情に精通するJOGMEC(石油天然ガス金属鉱物資源機構)の原田氏に聞いた。
JOGMEC 原田大輔 調査役
「これは驚きの結果でして、3月から4月にかけて(目減りが)加速するはずだったのに実際には増えた。さらに5月もインドは増えるらしい。制裁に参加していない国なので買い増していけないということはないんで、まさに濡れ手で粟。他の原油より1バレル40ドルも安いんですから・・・。中東の原油は転売ができないので買った国が消費しなければならないがロシアの原油は転売することもできる。つまり40ドル安く買ったロシア産石油を違う国に40ドル高く売ることもできる。(中略)中国は国際情勢を見ている。もしインドのように買い増してしまえば、アメリカから大きな非難の的にされる。中国は“自重しよう”、インドは“買って行こう”ということ」


インドのしたたかさは分かったが、実はロシアの原油の輸出量を示したグラフでインド以外にも4月急激に増加した項目がある・・・。