
大阪大会で、王者・大阪桐蔭を打ち破ったのも、普段の力を存分に発揮した履正社の「底力」だった。森沢拓海主将が、「エラーしたほうが負けると思っていた」と語ったように、高い集中力からの堅実な守備でリズムを作ると、攻撃でも、一人一人が粘り強いバッティング。絶対的エース前田投手を擁する大阪桐蔭にプレッシャーをかけ続けていく。そして、2回、大阪桐蔭の守備の乱れから先制点を奪うと、4回にも2点を追加、大阪桐蔭に一度も流れ渡さず、そのまま押し切った。
圧倒的な個の能力や、豪快な打撃が目に付く大阪桐蔭だが、その強さの背景には、大事な局面でミスを犯さない固い守備力と、追い込まれた状況でも、決して慌てない打撃陣の対応力にある。しかし、今回は、ミスが出て、対応が遅れて敗れた。完封した履正社の福田幸之介投手が、「投げていて、今日のバックは、本当に頼もしかった。」と語ったように、やるべきことをしっかりやったうえで、高い集中力を保ち続けた履正社の必然の勝利だった。
◎甲子園の組み合わせ:2日目 履正社ー鳥取商・鳥取
厳しい地方大会を制して、晴れの舞台へ勝ち上がってきた49の代表校。出場したとしても、甲子園で勝ち抜くには、また別のチカラがいる。ここでも甲子園で、勝利した経験が、大きくものをいう。その意味では、昨夏優勝の仙台育英、センバツでも4強まで勝ち残った広陵の両チームとも、春から夏にかけてさらに戦力が充実しているだけに、本大会での活躍が期待される。
いっぽう、一つ勝つことで、甲子園の呪縛から解き放たれて、一気に波に乗るケースもある。春のセンバツ大会では、力がありながら、甲子園では初戦敗退が続いていた山梨学院が、苦しい戦いの中で一つ勝ったことで、頂点まで一気に駆け上がった。甲子園の怖さと、勝ち抜くすべを知っている経験豊富なチームが大会をリードするのか?それとも、勢いにのった実力校が、旋風を起こすのか?今年も、球児たちの熱い夏から目が離せない。