“爆発のアーティスト”とも呼ばれる中国出身の現代美術家が、福島県いわき市の空に昼花火を打ち上げました。昼花火を打ち上げた思いと、被災地いわきとの30年にわたる絆を取材しました。
火薬の爆発で描く世界的美術家 被災地に希望の昼花火を咲かせる理由とは

キャンバスに火花が散る。さまざまな色の火薬の中には、日本製のものもある。火は一瞬でキャンバスの上を走る。

中国出身の現代美術家 蔡國強 氏(65)
「飛んでる感じね。火薬の動きですごく雰囲気が出るんです。エネルギーだから、すごく雰囲気出ます」

蔡が編み出した“火薬ドローイング”という制作手法。爆発の痕跡が躍動感を生み出す。
蔡國強 氏
「火薬はやっぱり、意外感、コントロールできない。火薬を使うと自分に対する破壊でもあるし、火薬を使って解放する。自由にさせる感じもある」

作品は絵画だけにとどまらない。代名詞は、火薬の煙を使った「昼花火」。
蔡國強 氏
「昼花火というのは、夜の花火とだいぶ違います。見える風景のままに、美しい中に昼花火が咲いてくる」

2008年、広島では「黒い花火」で原爆の犠牲者への鎮魂を表現するなど、色とりどりの「昼花火」を演出。世界の人々を魅了してきた。
蔡が次に挑む「昼花火」がある。それは「桜」。東日本大震災の被災地に「満天の桜」を咲かせようというのだ。
2022年10月、蔡は福島県の被災地を訪れ、今も放射能の問題に揺れる町の現状を見た。「昼花火」を打ち上げる場所は福島県いわき市の海岸。その理由は…
蔡國強 氏
「いわきというところは風景が美しいだけでなく、人間も親切ですからね。すごくお世話になった」