万博開催予定地での建設作業の様子

 まずは<建築予算>。資材の価格が高騰し、特にセメントや鉄鋼などは、3年前に比べ5割以上価格が上がっていて予算内では賄えない。さらに海外のパビリオンは奇抜なデザインが多く、複雑な建築が多い。資材そのものを自国から持ち込みたいというケースも少なくなく、よりコストがあがる懸念もある。しかし、お金だけの問題でもないという。

 そして<人手不足>。建築業界を支える職人などは、とにかく人が足りない。そんな中、2024年問題がじわじわ迫っている。建設業界は来年4月から原則月45時間、年360時間を超える時間外労働はできなくなる(労使で合意した場合、時間外労働は最大で年720時間)。こなせる仕事が限られるため、仕事自体を厳選しないと、やっていけなくなる。工期も短く、現地とのやり取りも言語の違いや時差などがあり、負担の大きい万博の仕事は、魅力的ではないという。

 ゼネコン関係者は言う。「50年前とは時代が違う。万博の仕事をしたからといって、名誉なことでもなければ、万が一、請け負って間に合わなければ、逆に信用問題にかかわる」

 こうした本音がゼネコンから漏れるようになったのは今年のはじめ。これと重なるように、浮上しはじめたのが、“万博延期論”だ。「建築が間に合わないから、万博が延期になる」というものだ。