日々老いてゆく、世話になった人たちのために

うたさんが、大学生の頃から世話になってきた島の住民たち。皆、看護師を目指すうたさんを応援してくれたといいます。その背中を押してくれた人たちを、看護師になってから何人も看取ってきました。

うたさんは、亡くなっていったお年寄りたちの多くの思いを背負って、豊島で暮らしています。

(小澤さん)
「私もこういうふうになるとは予想外。自分だけではどうしようもできなかった出会いとか偶然がいろいろ重なったなと思います」

今はどうすれば、島の人たちに恩返しができるか。大学で学んだ、経営学、環境学、そして看護学の立場から、思いを巡らせています。

(小澤さん)
「ないならないなり、ないよりある方がいいけど、もう全部が望める時代じゃどうやらなさそうだ」

「でも『ここだけは望みたい』っていうのがあるなら、それははっきりさせよう。その他は自分たちで何とかしよう...そこをもうちょっと詰めたいなとは思います」

看護の合間、週に2日豊島を出て高松市内の大学院でも勉強しています。全ては、世話になった島と、島の人たちの役に立ちたい一心からです。

(小澤さん)
「何か一人では限界があるけど、一人でもできることを探してます。還元できることはあるのかなと思うし」

「『時間が待ってくれない』っていうのがすごくあって。豊島にいると、やっぱりいろいろと教えてくれたお年寄りが次々亡くなっていくし」

日々衰えゆく、島の命。そのような中、7月に冨二さんの容体が急変しました。

第5回に続く)