―今後もしもビッグモーターの経営が立ち行かなくなったらどうなるのか。兼重親子が取締役のビッグアセットとの関係はどうなっていくのかというところですが、山岸弁護士によると「高く買ってくれるところに事業譲渡する形で民事再生を行う可能性」があると?
山岸久朗弁護士:大前提を説明しますと、民間の車検場としての許可が取り消される可能性がある。そして、そもそも客足が激減している。そして損害保険会社の代理店の契約も取り止めになると、そうすると売り上げが激減すると思います。そうすると銀行の借り入れを返せなくなる。たちまち経営が成り立たなくなって破産するんじゃないのかなと見ているんですね。破産の一形態として、民事再生というのがありまして、今あるビッグモーターの資産、工場やショールーム、そして何よりも働いておられる方の従業員の雇用、こういったものを守らないといけないと私は思うんですね。破産になると全てが台無しになってしまう。民事再生という制度は、そういった資源を守りながら、それを同業他社に高く買ってもらうことによって、そういった雇用を特に守りながら、資産を残せると。これになっていくんじゃないのかなというのが私の見立てです。
ビッグモーター社員の雇用を守り、兼重親子を断ち切る、「民事再生のすすめ」
―それによりビッグアセットの兼重親子との関係も切れるということですね?
山岸久朗弁護士:まさに世間が一番怒っているのは社長・副社長の権限が残っていると。まだ今でも大きな権限が残っておりますから。これが民事再生になると株がほぼゼロになるんですよ。事業譲渡を起こされることによって抜け殻になったビッグモーターは破産するしかなくなって、この親子の統治が切れるんですね。だからこれになっていくんじゃないのかなというのが私の弁護士としての今後の予想です。
―調査報告書によりますと、2021年9月にはビッグモーター従業員数5324人いらっしゃるんです。中には真面目に一生懸命お仕事されている皆さんも大勢いらっしゃると思うんです。だからこういった方々をどうやって守っていくかっていうことは考えないといけませんね。
山岸久朗弁護士:その通りです。こういった言い方したらなんですけど、いち早く民事再生に取りかかることが、取るべき経営者としての道じゃないのかなと私は思っています。