母親がダブル・トリプルワーク 夏休みは給食もなく

 アンケートに回答した1538件のうち、9割が母子家庭の世帯で、2023年に予想される世帯所得は「100~200万円未満」が43%と最も多く、全体の86%が世帯所得300万円未満です。非正規雇用も多く、賃金は上がらないまま物価は上がる一方で、もともと生活を切り詰めていた困窮家庭では子どもの成長や親の健康にも深刻な影響を及ぼす様々な困りごとが生じています。

 キッズドアで食糧支援を担当している渥美未零さんは、こういった現状を「21世紀の日本とは思えない」と言います。2020年にコロナ対策として始めた食糧支援でしたが、去年まではたんぱく源として重宝していた卵が1パック300円程度まで値上がりし、今では納豆が頼りになっています。

 フルーツも高くて手が出せないため、ビタミンも十分に摂れるのか心配になります。渥美さんは「100円、200円の値上げでも、毎日の積み重ねになれば困窮家庭にとっては死活問題になるということはしっかりお伝えしたい」と強調します。また、母子家庭では母親がダブルワーク、トリプルワークするケースも多く、朝から夕方まで仕事をし、夕食を作ってから深夜のバイトに行くといった生活で体を壊してしまうことも少なくありません。

 この物価高騰で、たとえ仕事で疲れ切って帰ってきても「総菜を買うことも躊躇してしまう」という声も多く寄せられているそうです。夏休みには給食がありません。子どもの栄養バランスも取りづらくなる懸念があり、家計における食費の負担も増えます。