「デジタルは唯一の手段だと戦争で分かった」

この『ディヤ』は、不便に苛まれる国民への行政サービスにも活かされている。

デジタル改革省 スラワ・バニク氏
「オフラインサービスが提供される建物がミサイルや戦車に攻撃され破壊され、物理的に存在しないんです。避難者用のサービス、住宅が破壊された人向けのサービス、つまり被災情報を登録してもらい、住宅建設について相談すること、社会福祉関連の支払いも同様です。デジタルサービスは人に国のサービスを提供する、人とコミュニケーションを行うための唯一の手段となることがこの戦争を通じて分かりました。物理的に支払いができない地域では、今は対象者のカードにお金を振り込んでいます」

さらに避難などで国民がバラバラになっている状態の今、国を守る軍を支援するための機能も付け加えられたという。

デジタル改革省 スラワ・バニク氏
「戦時下で登場したもう1つの機能は“寄付”です。軍や兵士が必要としている費用の額は、平常時とは異なりますよね。その問題を素早く解決しなければなりませんでした。寄付は慈善団体や財団ではなく、直接国の口座に振り込まれ、国の予算に入ります。これも素晴らしい解決方法です」

ウクライナ軍はこうした寄付で、ドローンなどの兵器も購入しているという。こうしたデジタル化で、物理的なロシアへの攻撃だけでなく、国民の団結も得られているウクライナ。しかし戦時下だからこそ、注意も必要だという。

デジタル改革省 スラワ・バニク氏
「ロシアによる侵攻の前は法律上、国のすべてのデータベースはウクライナ国内に置く必要がありましたが、侵攻後はデータベースのデータをクラウドに保管できるよう法律が改正されました。今は国外のアマゾンのクラウドを利用しています。そして、スターリンクも重要なポイントです」