カフジ・ビエガ国立公園
カフジ・ビエガ国立公園

ヒガシゴリラの家族は、リーダーである一頭のオスと何頭かのメスと子供たちで構成されます。成熟したオスは背中の毛が銀色に変わるため、「シルバーバック」と呼ばれます。子供たちは3歳くらいになると母離れして父親にくっつくようになり、銀色の背中に乗ったりして遊びますが、オスは見習いたいぐらい泰然自若としています。

ヒガシゴリラの群れ

ゴリラというと胸を叩いて威嚇する・・・というイメージがありますが、あれはドラミングといって見知らぬ相手と出会ったときに無用な争いを避けるためにやっているので、攻撃的というよりも平和的な行動だそうです。番組では子供のゴリラが父の真似をしてドラミングをやってみるところを撮影しましたが、これもまた可愛くてかなり抱腹なシーンでした。ゴリラの場合は父親の姿を見て真似て、子供はいろいろと学習していきます。

父ゴリラのドラミング
子供ゴリラのドラミング
子供ゴリラのドラミング

ゴリラは映画「キングコング」の影響からか、凶暴な動物という先入観がありますが、実は草食(一日になんと30キロも食べます)で、このように家族でのんびり平和に暮らしている動物なのです。

父の背中に乗る子供ゴリラ

父と子というと、ペルーの世界遺産「マヌー国立公園」で撮影したダスキーティティも印象的です。小型のサルの一種ですが、やはりオスが子供の面倒を見て、おんぶして森の中を駆け回ります。木から木へと飛び移るときも、子供を背負ったまま。すごい技です。

子供をおんぶするダスキーティティのオス

アマゾン川の源流のひとつマヌー川流域で、面積1万7000平方キロもある広大な国立公園、マヌー。ダスキーティティ以外にも世界最大のカワウソやジャガー、1000種にも及ぶ多くの鳥類が生息しています。実は、こうした動物そのものは世界遺産ではありません。世界遺産に登録されるのは土地や建物など「不動産」に限られています。マヌーの場合も、1万7000平方キロの国立公園の敷地が世界遺産。世界遺産にすることによって、その土地に暮らす貴重な生物を保護するという仕組みになっているのです。笑撃シーンを見せたチンパンジーの子供が暮らすタイ国立公園も、父の真似をするゴリラの子供が暮らすカフジ・ビエガ国立公園も、同じように動物そのものではなく、土地を世界遺産にすることによって生物を保護しようという試みなのです。

執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太