父の提案が人生の転機に

そんなとき、転機が・・・。父で社長の慎一郎さんから「家業を手伝ってくれないか」と提案されました。

木下さん
「山口に帰っても、プロゲームは続けられると思っていましたし、東京でやることって言っても、試合の日とかファンイベントとか撮影ぐらいなので」

東京から山口へ、家業と両立

今年4月、拠点にしていた東京から山口に戻ってきました。プロゲーマーとしていつまで活動できるのか。専業ではなく、家業との両立を考えました。日中は仕事を手伝い、仕事終わりに練習に励んでいます。

経験ゼロからのみそ造り

木下さん
「エプロンです…(笑)」

任されたのは「みそ造り」。去年まで山口市内でみそ造りをしていた砂田商店が、経営者の高齢化を理由に廃業しました。そのまま終わらせるわけにはいかないと、親交があった木下酒造が受け継ぎました。

もちろんみそ造りの経験もなく、知識もゼロの状態でした。一から勉強し、現在はもう1人の社員とともに、合わせみそを造るため調合する作業をしています。

木下さん
「単純にみそが好きですね、この作業をしている間も香りが伝わってきますし」

調合したみそを売りに出るのも、大切な仕事の1つ。ホテルや飲食店を中心に幅広く販売しています。この日は湯田温泉にある2店舗を回りました。自分が造ったみそを自ら売り歩く。始めて数か月ですが、取引先に顔も覚えてもらえました。

木下さん
「お世話になります、木下酒造です。特うまみそです」
店員
「ありがとうございます」

この店ではみそ汁などに使っているそうです。自分で調合したみそが使われたみそ汁を飲む木下さん。

木下さん
「やっぱり全然違いますね。自分で混ぜたり調合したりしたみそがこういうふうに使われているんだなというのは、感動するというか…」