世界中の人々に親しまれている、スタンダードなジャズナンバー『ダニーボーイ』。この曲を特別な思いで、歌い続けている人がいます。87歳のジャズシンガー、齋藤悌子さんです。アメリカの統治下にあった沖縄で、戦地に赴く兵士たちに歌を届けてきた悌子さんが今、歌を通して伝えたい思いとは?

齋藤悌子さんが基地で歌ってきたジャズ

深みのある温かな声。宮古島出身のジャズシンガーの齋藤悌子さんの59年前の歌声です。

この曲は、様々なアーティストに演奏されてきた名曲『ダニーボーイ』。出征する子どもを思う母の切ない心境が描写されています。アメリカの統治下にあった沖縄で、兵士たちに歌を届けてきた悌子さんは今…

ジャズシンガー 斎藤悌子さん
「あの頃は、きれいな、いい曲だなって、歌っているのね。大好きな曲で歌ってたけども、内容を聞いたり、年重ねるごとに何か胸打たれちゃうっていうのかな」

ハーリー競争に声援を送っていたのは、ジャズシンガーの齋藤悌子さん。現在、石垣市に暮らしています。

これまで、ライブが主な活動の場だった悌子さん。87歳の今、新たなステージに立つことに決めました。

斎藤悌子さん
「タラララーララララー、そのメロディーのところで、おぉ、ダニーボーイ、ダニーボーイ、帰れよ…バット カーミング バーック…とサビに入りますから」

この日は、慰霊の日に行われる平和コンサートの打ち合わせです。戦争体験者で自衛隊配備に反対してきた山里節子さんの誘いをうけて、ダニーボーイを歌います。

歌の背景をしっかりと伝えようと、日本語の朗読を加えることにしました。

斎藤悌子さん
「私がステージね、リクエストがきたから『ダニーボーイお願い』って歌うのと、やっぱり平和コンサートで、その場で歌うのとではちょっと違うと思うわね。素敵な歌詞があるしね、いい朗読ができたらいいなと」

ダンサー 牧瀬茜さん
「曲が有名な曲なんでね、聞いたことがあったのに、そういう歌だったんだと思って。命を大切に思う母の心を、自分も胸に焼き付けながら当日やりたいと思います」

山里節子さん
「ダニーボーイを通して、親子の愛情をあそこまで深く訴えてくれたり、表現してくれたりしてるっていう、全然違う魅力があると思います」