記憶はあるつもりだけど…ない 完治したNPO元代表 “4歳で発症”

小川彩佳キャスター:
改めましてここからは朝井香子さんとお伝えします。
朝井さんは、クライネ・レビン症候群の理解を深める活動や、実際の患者さんや親御さんとも情報交換を行っています。

そして1年半前までNPO法人「日本過眠症患者協会」の代表も務めました。朝井さんご自身も、この病気に悩まされてきた1人ということです。

山本恵里伽キャスター:
朝井香子さん(47)についてご紹介していきます。
4歳でクライネ・レビン症候群を発症
→1日20時間ほど睡眠が必要になる「過眠期」が徐々に期間が長くなっていきました。
●小学4年生、学校を1か月休むように
●32歳、症状がピークに
→1か月のうち、3週間の過眠期が訪れました。1か月のうち、1週間しか通常の生活ができない状態です。これが12回訪れたということなんです。
●45歳、症状が治まる

小川キャスター:
今は完治されている、寛解されているということですけれども、朝井さんにとって、一番大変だったときというのはどんなときでしたか。

NPO法人「日本過眠症患者協会」元代表 朝井香子さん:
とにかくずっと寝ていましたので、何にもできないことですね。

小川キャスター:
過眠期には目が覚めているときもシャキッとした状態ではないわけですか?

NPO法人「日本過眠症患者協会」元代表 朝井香子さん:
違いますね。ぼーっとしていて、目もうつろで、食べるか、トイレに行くかしかできないので。

小川キャスター:
ご飯食べて、お手洗い行って、ぼーっとして、また寝てしまう。それが毎日繰り返されていくというのが「過眠期」なんですね。

山本キャスター:
そのときの記憶はあるんですか?

NPO法人「日本過眠症患者協会」元代表 朝井香子さん:
記憶はあるつもりでいるんですけど、やっぱりないですよね。つじつまが合わないですよね。「過眠期」が終わった後に、「こうだったよね」と言われても覚えていなかったりする。

「怠けでも詐病でもない」診断までの33年 医師も知らない病気で転々と

山本キャスター:
朝井さんの検査歴をこちらで見ていきます。
〈朝井香子さんの主な検査歴〉
●8歳、大学病院で検査 ⇒異常なし
●29歳、内科→婦人科→心療内科⇒異常なし
●37歳、内科→循環器内科→心療内科→精神科→総合診療科→睡眠科 ⇒別の睡眠障害と診断
→体調変わらず再度検査 ⇒クライネ・レビン症候群と診断

発症が4歳なので、診断を受けるまでに33年かかってるんですね。

小川キャスター:
検査歴を見ると、あらゆる科を回られたということが伝わってきますけれども、診断名がようやく出たときはどんなお気持ちでしたか?

NPO法人「日本過眠症患者協会」元代表 朝井香子さん:
とにかく安心しました。それまでにいろいろな科を回っているのでお医者さんですら、詐病じゃないかという扱いだった。私は怠けではなく、詐病でもなく、ちゃんとした病気を持っているという証明ができたような気がしたので、嬉しかったですね。

小川キャスター:
そもそもなぜ、診断されるまでこれだけ時間がかかるものなんでしょう。

NPO法人「日本過眠症患者協会」元代表 朝井香子さん:
まず睡眠科の先生が少ないというのがあるんですけれども、それに加え、最初寝ていると体調が悪くて寝てるんだろうと思うんですよね。そうすると内科や心療内科に行くんですけれども、現場のお医者さんもこの病気を知らない方も多い。そうするとそこで異常がないと。

あるいは違う病名を与えられてしまうと、その病名に対する治療が始まってしまうので、それで満足してしまうというか、もう少し疑って違う病院に行ったりということがなかなかできない。

小川キャスター:
睡眠科自体を知らない方も多いですし、どこにでもあるものではないですよね。それでどんどん門戸が狭くなってしまうところもあり、ようやくたどり着いたというところは、本当に長い道のりがあるわけですね。

小川キャスター:
大体どれくらい時間かかると言われてるんですか?

NPO法人「日本過眠症患者協会」元代表 朝井香子さん:
海外の論文だと4年くらいというものがあるんですけど、日本の方だと10年くらいかかってるみたいですね。