医師「冬眠に近いメカニズム」治まるまで平均14年 見守る家族は

琉球大学病院 普天間国博 医師
「(発病の)原因はわかっていないんですけど、過眠の時期というのは、冬眠に近いメカニズムが働いているようです。見守りは必要になります。例えば寝ぼけて徘徊して外に出て、交通事故に遭ったりするリスクもある」

現在、この「クライネ・レビン症候群」に効果的な治療方法は見つかっていません。
症状が自然に治まるのを待つしかなく、治まるまでの期間は平均14年かかるといいます。

見守りを続ける両親のために、社会福祉協議会などの支援も。
ひろと君の家の壁には、小型の機器が取り付けられています。

父親「これは『離床センサー』といって、人の動きを感知して動いたら音が鳴る」

試しにセンサーの前に手をかざすと、音楽が流れました。

父親「夜中に(ひろと君が)起きた時に、この音で起きて、見守りができる。親は常にどっちかが起きている状態だったのが、眠りながら、音が鳴れば起きる態勢になったので、睡眠時間が確保できた。非常に助かっています。」

ひろと君「高校はやっぱり行きたい」 過眠期が明けるも昼過ぎまで起きられず

ーーー最近変わったことや困ったことは?
ひろと君(中学2年)「困ったことは『将来、高校は入ってほしい』と(両親に)言われているから、勉強をどうするのかなみたいな」

ひろと君は現在、塾に通い、勉強の遅れを取り返そうとしていますが、両親の経済的負担も少なくありません。

過眠期が明けた6月9日、取材陣とも積極的にコミュニケーションを取るようになりました。

ーーー表情やしゃべり方が前より眠くなさそうに感じる
ひろと君「前よりは今のこの時間帯(夕方)は眠くない」

ーーー何している時が楽しい?
ひろと君「きょう友達の家に行った。学校が午後3時くらいに終わって、4時半くらいまで遊んでた」

しかし、過眠期が明けたはずの今も、昼過ぎまで起きられない症状が度々あるといいます。

琉球大学病院 普天間国博 医師
「まだはっきりしたことは言えないんですけど、クライネ・レビン症候群以外にも、他の睡眠障害を含めた合併症や心理的要因の影響がないか、今、検査を進めているところ」

6月27日、ひろと君に、他の睡眠障害があるかなどの検査入院がはじまりました。
クライネ・レビン症候群以外の病気が見つかれば、その治療はできる可能性があるといいます。

次にいつ過眠期が来るかわからない不安の中、勉強に励む日々。

ーーーお父さん、お母さんが頑張ってくれている感じはする?
ひろと君「(両親に)めちゃくちゃ心配されてるし、めちゃくちゃ頑張ってくれてると思っている。ありがたいなって感じではあるけど、恩返しみたいなことは全然できていない」

ーーー勉強をする先に何か目標がある?
ひろと君高校はやっぱり行きたくて。大学も行けたらな。福祉(関係)とかお悩み相談、SOSみたいな、人と話す職業みたいなことをやってみたい」