強盗の指示役「ルフィ」?北海道出身の男はかつてススキノで人気飲食店経営「やり手っぽいイメージでした」

 札幌出身の今村磨人(いまむら・きよと)容疑者は、全国で相次ぐ強盗事件への関与が疑われている人物のひとりです。今年2月7日、フィリピンのビクタン収容所から日本へ強制送還されました。

今村磨人容疑者(電話する様子)
「そんな簡単な話なんですけど、そこはリスクはないです。そいつらは詐欺で入手した金だから、わめくこともないです」

 電話は、詐欺グループへの指示とみられます。
 犯行グループの指示役の「ルフィ」は、警視庁の捜査で今村容疑者であることがわかりました。
 
 2019年、ビクタン収容所には、日本からの要請で、フィリピン当局が拘束した36人の特殊詐欺グループがいました。
 指示役の今村容疑者は、別の容疑で先に拘束され、すでに収容所にいました。
 2021年、後から入ってきたのが、渡辺優樹被告でした。
 収容所内で「ボス」と呼ばれ、今村容疑者の地元、札幌での友人だったといいます。ススキノで2人の軌跡を追いました。

渡辺優樹被告の店を知る人
「(業務形態は?)ニュークラブでした。(客層は)若い人が多かったと思う。(売れゆきや客の出入りは)結構あったと思う。若いのにオーナーでちゃんとやっていてすごいなと思っていた」

 別海町出身の渡辺被告は、大学進学で札幌に。その後、ススキノのアルバイトで資金をつくり、飲食店を2店、開店しました。

渡辺被告を知る人
「やり手っぽいイメージでしたよ。若くして成功したんだなっていうか。ただ儲かっていたからって、いい気になっているイメージは全くない。羽振りよく見せるとか、そういうイメージはまったくなかった。悪い印象はまったくないです」「まあ、頭良さそうでしたよね、すごく。そういう所も長けているのかなって」

 一方、今回再逮捕された、今村容疑者については。

渡辺被告の知人
「(今村容疑者は)接待を伴う方。ニュークラブというかパブなのか。1年くらい(営業を)やったんじゃないですか。やんちゃなイメージでしたけど知能犯的な感じのやんちゃというよりは、なんか、体も大きかったのでどっちかというと圧がある感じ」

 警察庁は、同じグループの関与が疑われる強盗事件は、全国で数十件にのぼるとみていますが、その実行犯にも、北海道出身者がいます。

 去年10月、東京・稲城市の住宅に宅配業者を装って押し入り、住人3人を粘着テープで縛って暴行し、現金3500万円と金塊が奪われた強盗事件がありました。
 逮捕された8人のうちのひとりが、北海道出身の石栗一樹(いしぐり・かずき)被告でした。
 さらに、石栗被告ら3人は、去年11月、山口県岩国市で住宅に押し入り、金品を奪おうとしましたが、住民の男性が日本刀で抵抗したため、未遂に終わった強盗事件にも加わっていたことがわかっています。

 記者がインターネットで「闇バイト」と検索すると「募集者のアカウント」が出てきます。真偽はわかりませんが「即日即金」「全国どこでも1日5万から20万」などの文字が踊ります。
 東京・稲城市の事件で、実行犯たちは、SNSの闇バイトに応募していました。「ルフィ」「キム」「ミツハシ」を名乗る人物から、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」で犯行を指示されたといいます。
 また、「実行役」「運転手役」「見張り役」「上位者との連絡役」など役割を分担し、実行役には100万から150万円、運転手役には80万円の報酬が約束されていたといいます。

 北海道最北端のマチ、稚内市で生まれ育った石栗被告について、親族は2年前の様子を話しました。

記者リポート
「石栗被告の親族によりますと、札幌での生活に困り、100万円を貸して欲しいと連絡してくることもあったということです」

 また、勤め先の同僚によると「性格は明るく、仕事にも熱心に取り組んでいた。2年ほど前、彼女と同棲するため、札幌へ行った」と言います。

犯罪ジャーナリスト 多田文明さん
「特殊詐欺に関していえば、闇バイトで実行犯を募集するということが行われているが、今回の強盗もまったく同じ。家に押し入る人間を、闇バイトを通じて募集する。指示系統も同じ。強盗しているひとりひとりは素人。ところが組織的なマニュアルとか指示があることで、プロ並みの強盗を短時間ですることができてしまう。これが非常に恐ろしい」